4.3.P28
4.3.問題28
(4.3.47) の仮定のもとで、次の主張
\lambda(A + B)^{\downarrow} + \lambda(A - B)^{\downarrow} \succeq 2\lambda(A)
が、ファンの不等式 (4.3.47a) と同値であることを示せ。
ヒント
\(A+B\) と \(A-B\) にファンの不等式を適用する。
また、\(B\) を \(-B\) に置き換えても固有値は並べ替えを除いて変わらないことを利用する。
逆向きは \(X=(A+B)/2,\;Y=(A-B)/2\) とおいてファンの不等式を適用する。
解答例
まず、ファンの不等式
\lambda(X)^{\downarrow}+\lambda(Y)^{\downarrow}\succeq\lambda(X+Y)が成り立つと仮定する。
\(X=A+B,\;Y=A-B\) とすると、
\lambda(A+B)^{\downarrow}+\lambda(A-B)^{\downarrow}\succeq\lambda(2A)を得る。
固有値はスカラー倍によって同じ倍率で拡大されるので、
\lambda(2A)=2\lambda(A)
である。したがって、
\lambda(A+B)^{\downarrow}+\lambda(A-B)^{\downarrow}\succeq2\lambda(A)が従う。
逆に、この不等式が成り立つと仮定する。
任意のエルミート行列 \(X,\;Y\) に対して
A=\frac{X+Y}{2},\qquad B=\frac{X-Y}{2}とおけば、
A+B=X,\qquad A-B=Y
となる。
仮定より、
\lambda(X)^{\downarrow}+\lambda(Y)^{\downarrow}\succeq2\lambda\!\left(\frac{X+Y}{2}\right)を得る。
固有値はスカラー倍に対して線形に変化するので、
2\lambda\!\left(\frac{X+Y}{2}\right)=\lambda(X+Y)である。したがって、
\lambda(X)^{\downarrow}+\lambda(Y)^{\downarrow}\succeq\lambda(X+Y)となり、これはファンの不等式そのものである。
以上より、与えられた主張とファンの不等式は同値である。

[行列解析4.3]エルミート行列に関する固有値の不等式
この節の目次4.3.1 定理(ヴェイアの定理)4.3.3 系4.3.5 系4.3.7 系4.3.9 系4.3.12 系4.3.15 系4.3.17 定理(Cauchy)4.3.21 定理4.3.26 定理4.3.28 定理4.3.34 系4...
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