[行列解析4.3.P24]リツキーの不等式の第3の表現

4.エルミート行列、対称行列、合同行列

4.3.P24

4.3.問題24

\(A, B \in M_n\) をエルミート行列とする。(4.3.47) において、リツキー(Lidskii)の不等式の2つの同値な形が現れる。すなわち、
「\(\lambda(A + B)\) は \(\lambda(A)^{\downarrow} + \lambda(B)^{\uparrow}\) によりメジャライズされる」
および
「\(\lambda(B)\) は \(\lambda(A + B)^{\downarrow} - \lambda(A)^{\downarrow}\) によりメジャライズされる」。
これらが次の3つ目の形と同値であることを示せ。
「\(\lambda(A - B)\) は \(\lambda(A)^{\downarrow} - \lambda(B)^{\downarrow}\) によりメジャライズされる」。

ヒント

\( A-B=A+(-B) \) とみなし、リツキーの不等式を \( A \) と \( -B \) に適用する。また、\( -B \) の固有値は \( B \) の固有値の符号を反転して順序を逆にしたものであることを利用する。

解答例

リツキーの不等式

\lambda(X+Y)\prec\lambda(X)^{\downarrow}+\lambda(Y)^{\uparrow}

において、\( X=A,\ Y=-B \) とおくと、

\lambda(A-B)\prec\lambda(A)^{\downarrow}+\lambda(-B)^{\uparrow}

を得る。

一方、\( -B \) の固有値は \( B \) の固有値に \( -1 \) を掛けたものであるため、並び順を考慮すると

\lambda(-B)^{\uparrow}=-\lambda(B)^{\downarrow}

が成り立つ。これを代入すると、

\lambda(A-B)\prec\lambda(A)^{\downarrow}-\lambda(B)^{\downarrow}

となり、第3の形が得られる。

逆に、第3の形が成り立つと仮定する。ここで \(B\) を \(-B\) に置き換えると、

\lambda(A-(-B))\prec\lambda(A)^{\downarrow}-\lambda(-B)^{\downarrow}

すなわち、

\lambda(A+B)\prec\lambda(A)^{\downarrow}+\lambda(B)^{\uparrow}

となる。ここで

-\lambda(-B)^{\downarrow}=\lambda(B)^{\uparrow}

を用いた。

したがって、第2の形と第3の形は同値である。また、定理4.3.47より第1の形と第2の形は同値であるから、第1、第2、第3の3つの表現はすべて同値である。

[行列解析4.3]エルミート行列に関する固有値の不等式
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