[行列解析4.3.P29]エルミート行列の対角ブロックとメジャライズの関係

4.エルミート行列、対称行列、合同行列

4.3.P29

4.3.問題29

\(A = [A_{ij}]_{i,j=1}^m \in M_n\) をエルミート行列とし、各 \(i = 1, \ldots, m\) に対して \(A_{ii} \in M_{n_i}\) であり、\(n_1 + \cdots + n_m = n\) とする。

このとき、\(A\) の固有値ベクトルは \(A_{11} \oplus \cdots \oplus A_{mm}\) の固有値ベクトルをメジャライズすることを示せ。

この主張が (4.3.45) の一般化になっている理由を説明せよ。

ヒント

対角ブロック行列を \(D=A_{11}\oplus\cdots\oplus A_{mm}\) とおき、残りの成分を \(E=A-D\) とする。\(E\) の対角ブロックはすべて零であるので、リツキーの不等式を適用する。

解答例

対角ブロック行列

D=A_{11}\oplus\cdots\oplus A_{mm}

とおき、

E=A-D

と定める。すると \(A=D+E\) であり、\(D,E\) はともにエルミート行列である。

\(E\) の対角ブロックはすべて零であるから、その対角成分の和は零である。したがって

\operatorname{tr}(E)=0

となる。

リツキーの不等式より、

\lambda(A)\succeq\lambda(D)^{\downarrow}+\lambda(E)^{\uparrow}

が成り立つ。

一方、\(\operatorname{tr}(E)=0\) であるから、固有値ベクトル \(\lambda(E)\) の総和も零である。このため、\(\lambda(E)^{\uparrow}\) を加えても右辺の部分和は減少することはなく、全体の和は変わらないので、

\lambda(D)\preceq\lambda(A)

を得る。

ここで \(D\) の固有値は各対角ブロックの固有値を合わせたものであるから、\(A\) の固有値ベクトルは

A_{11}\oplus\cdots\oplus A_{mm}

の固有値ベクトルをメジャライズする。

最後に、この結果が (4.3.45) の一般化である理由を説明する。

各ブロックの大きさをすべて \(1\) とすると、各 \(A_{ii}\) は \(A\) の対角成分となる。このとき \(D\) は \(A\) の対角成分のみからなる対角行列であり、その固有値は対角成分そのものである。

したがって、本問の結果は「エルミート行列の固有値ベクトルは対角成分ベクトルをメジャライズする」という (4.3.45) をそのまま含む一般化になっている。

[行列解析4.3]エルミート行列に関する固有値の不等式
この節の目次4.3.1 定理(ヴェイアの定理)4.3.3 系4.3.5 系4.3.7 系4.3.9 系4.3.12 系4.3.15 系4.3.17 定理(Cauchy)4.3.21 定理4.3.26 定理4.3.28 定理4.3.34 系4...


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