[行列解析4.3.P23]ベクトル和のメジャライゼーション

4.エルミート行列、対称行列、合同行列

4.3.P23

4.3.問題23

与えられた \(x, y \in \mathbb{R}^n\) について、(4.3.47a,b) を用いて次を一行で証明せよ。

  • (a) \(x + y\) は \(x^{\downarrow} + y^{\downarrow}\) によりメジャライズされる。
  • (b) \(x + y\) は \(x^{\downarrow} + y^{\uparrow}\) をメジャライズする。

これら2つのメジャライゼーションを、(4.3.47) を用いずに証明できるか?

ヒント

対角行列 \(A=\operatorname{diag}(x)\)、\(B=\operatorname{diag}(y)\) を考えると、その固有値ベクトルはそれぞれ \(x\)、\(y\) である。

また \(A+B=\operatorname{diag}(x+y)\) の固有値ベクトルは \(x+y\) である。これを定理4.3.47にそのまま適用すればよい。

解答例

対角行列 \( A=\operatorname{diag}(x) \), \( B=\operatorname{diag}(y) \) を考える。

このとき \( \lambda(A)=x \), \( \lambda(B)=y \), \( \lambda(A+B)=x+y \) である。

(a)

Fan の定理(定理4.3.47(a))より、

x^{\downarrow}+y^{\downarrow}
=
\lambda(A)^{\downarrow}
+\lambda(B)^{\downarrow}
\succ
\lambda(A+B)
=
x+y

となる。したがって、\(x+y\) は \(x^{\downarrow}+y^{\downarrow}\) によりメジャライズされる。

(b)

Lidskii の定理(定理4.3.47(b))より、

x+y
=
\lambda(A+B)
\succ
\lambda(A)^{\downarrow}
+\lambda(B)^{\uparrow}
=
x^{\downarrow}
+
y^{\uparrow}

となる。したがって、\(x+y\) は \(x^{\downarrow}+y^{\uparrow}\) をメジャライズする。

なお、これら2つのメジャライゼーションは定理4.3.47を用いなくても証明できる。

実際、(a) は Hardy-Littlewood-Pólya の不等式や置換に関する再配列不等式から導かれ、(b) も同様にメジャライゼーションの基本性質や再配列不等式を用いて直接証明できる。

[行列解析4.3]エルミート行列に関する固有値の不等式
この節の目次4.3.1 定理(ヴェイアの定理)4.3.3 系4.3.5 系4.3.7 系4.3.9 系4.3.12 系4.3.15 系4.3.17 定理(Cauchy)4.3.21 定理4.3.26 定理4.3.28 定理4.3.34 系4...


行列解析の総本山

総本山の目次📚

[行列解析]総本山📚
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

記号の意味🔎

[行列解析9.0]主要な記号一覧🔎
行列解析で使用している記号や用語の簡単な説明です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました