[行列解析4.1.P23]エルミート行列の積とトレース性質

4.エルミート行列、対称行列、合同行列

4.1.P23

4.1.問題23

\(A, B \in M_n\) がエルミートであるとする。次を示せ:

(a) \(AB\) がエルミートであることと、\(A\) が \(B\) と可換であることは同値である。

(b) \(\operatorname{tr}(AB)\) は実数である。

ヒント

エルミート行列は \(A^* = A\) を満たす。

積の随伴は \( (AB)^* = B^* A^* \) となることを用いるとよい。また、トレースについては \( \operatorname{tr}(X^*) = \overline{\operatorname{tr}(X)} \) が成り立つ。

解答例

(a) まず、\(AB\) がエルミートであると仮定する。このとき

(AB)^* = AB

が成り立つ。一方、一般に \( (AB)^* = B^* A^* \) であるから、\(A, B\) がエルミートより

(AB)^* = B A

となる。したがって \( BA = AB \) すなわち \(A\) と \(B\) は可換である。

逆に、\(AB = BA\) が成り立つと仮定すると、

(AB)^* = B A = AB

より、\(AB\) はエルミートである。したがって両者は同値である。

(b) トレースの性質より \( \operatorname{tr}(X^*) = \overline{\operatorname{tr}(X)} \) が成り立つ。ここで \(X = AB\) とおくと、

\overline{\operatorname{tr}(AB)} = \operatorname{tr}((AB)^*)

となる。さらに \( (AB)^* = B A \) より、

\overline{\operatorname{tr}(AB)} = \operatorname{tr}(BA)

が成り立つ。ここでトレースの巡回性より \( \operatorname{tr}(BA) = \operatorname{tr}(AB) \) であるから、

\overline{\operatorname{tr}(AB)} = \operatorname{tr}(AB)

となる。したがって \( \operatorname{tr}(AB) \) は実数である。

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