3.4.P1
3.4.問題1
\(A \in M_n(\mathbb{R})\) で \(A^2=-I_n\) を満たすと仮定する。このとき、\(n\) は偶数であり、可逆行列 \(S \in M_n(\mathbb{R})\) が存在して
S^{-1}AS =
\begin{bmatrix}
0 & -I_{n/2} \\[4pt]
I_{n/2} & 0
\end{bmatrix}
が成り立つことを示せ。
ヒント
条件 \(A^2=-I\) より、最小多項式は \(t^2+1\) を割る。実数体では固有値は \(\pm i\) となり、複素共役対として現れるため、次元は偶数になる。また、実ジョルダン標準形では各対は \(2\times2\) ブロックとして表される。
解答例
\(A \in M_n(\mathbb{R})\) が
A^2 = -I_n
を満たすとする。このとき \(A\) は多項式
t^2 + 1
を満たすので、最小多項式は \(t^2+1\) に一致する。
したがって、複素数体上では固有値は \(i,-i\) のみである。実数体においてはこれらは複素共役対として現れるため、対応する不変部分空間はすべて2次元である。よって次元 \(n\) は偶数である。
さらに、実ジョルダン標準形において、各共役対 \(i,-i\) に対応するブロックは
\begin{pmatrix}
0 & -1 \\
1 & 0
\end{pmatrix}
の形になる。
したがって、ある可逆行列 \(S \in M_n(\mathbb{R})\) が存在して、
S^{-1}AS =
\begin{pmatrix}
0 & -1 & & & \\
1 & 0 & & & \\
& & \ddots & & \\
& & & 0 & -1 \\
& & & 1 & 0
\end{pmatrix}
と表せる。この行列はブロック対角行列として
\begin{bmatrix}
0 & -I_{n/2} \\
I_{n/2} & 0
\end{bmatrix}
と同値である。
以上より、\(n\) は偶数であり、所望の標準形が得られる。
次の3問(3.4.P2,3.4.P3,3.4.P4)では、与えられた \(A \in M_n\) に対して、中心化代数 \(C(A)=\{B \in M_n : AB=BA\}\) を考える。これは \(A\) と可換な行列全体の集合である。

[行列解析3.4]3.4 実ジョルダン標準形とウェイア標準形
この節では、実行列に対するジョルダン標準形の実数版と、特に可換性に関わる問題で有用な複素行列に対するジョルダン標準形の代替であるウェイア標準形について議論します。3.4 この節の目次3.4.13.4.1.53.4.1.7注釈と参考文献Edu...
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