[行列解析3.4.P9]ヴェイア標準形の非零要素最小性

3.標準形と三角因子分解

3.4.P9

3.4.問題9

与えられた正方行列 \(A\) のヴェイア標準形は、ジョルダン標準形(3.2.9)と同様に、\(A\) の類似類に属する行列のうち全ての非対角の非零要素の数が最小であることを説明せよ。

ヒント

ジョルダン標準形では、各ジョルダンブロックにおいて上三角の直上にのみ 1 が現れ、それ以外の非対角成分はすべて 0 である。このため非対角の非零要素の個数は最小になる。ヴェイア標準形でも、ブロック構造により必要最小限の位置にのみ非零成分(単位行列ブロック)が現れることに注目し、その個数を比較する。

解答例

まず、ジョルダン標準形においては、各固有値に対応するジョルダンブロック \(J_k(\lambda)\) は

J_k(\lambda) =
\begin{bmatrix}
\lambda & 1 &  &  \\
 & \lambda & \ddots &  \\
 &  & \ddots & 1 \\
 &  &  & \lambda
\end{bmatrix}

の形をしており、非対角の非零要素は各ブロックにつき \(k-1\) 個である。したがって、全体として非対角の非零要素の個数は \( \sum (k_i - 1) = n - \text{ブロック数} \) となる。

一方、ヴェイア標準形では、ヴェイア特性 \(w_1 \ge w_2 \ge \cdots\) に従って

W =
\begin{bmatrix}
\lambda I_{w_1} & I_{w_2} &  &  \\
 & \lambda I_{w_2} & \ddots &  \\
 &  & \ddots & I_{w_k} \\
 &  &  & \lambda I_{w_k}
\end{bmatrix}

のように表される。このとき非対角の非零要素は、各ブロック間に現れる単位行列 \(I_{w_{i+1}}\) に由来し、その個数は \( w_2 + w_3 + \cdots \) である。

ここで、ヴェイア特性とジョルダンブロックのサイズの関係から \( w_1 + w_2 + \cdots = n \) であり、また \( w_2 + w_3 + \cdots = n - w_1 \) である。一方、ジョルダン標準形における非対角非零要素の個数も同様に \(n - w_1\) に一致する。

したがって、ヴェイア標準形もジョルダン標準形と同様に、類似な行列の中で非対角の非零要素の個数が最小となる構造を持つ。

以上より、ヴェイア標準形はジョルダン標準形と同様に、類似類の中で非対角の非零要素の数が最小であることが分かる。

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