[行列解析3.3.P29]反転行列と可換条件の構造

3.標準形と三角因子分解

3.3.P29

3.3 問題29

\( A, K \in M_n \) とし、\( K \) は反転行列であり、\( A = KAK \) が成り立つとする。このとき以下を示しなさい。

(a) ある \( m \in \{0,1,\ldots,n\} \) と、行列 \( A_{11} \in M_m, A_{22} \in M_{n-m} \) が存在して、\( A \) が \( A_{11} \oplus A_{22} \) に相似であり、さらに \( KA \) が \( A_{11} \oplus (-A_{22}) \) に相似である。

(b) \(\lambda\) が \( A \) の固有値であることと、\(+\lambda\) または \(-\lambda\) が \( KA \) の固有値であることは同値である。

(c) \( A \in M_n \) が中心対称行列 (0.9.10) であり、\( K = K_n \) が逆順行列 (0.9.5.1) であるとき、\(\lambda\) が \( A \) の固有値であることと、\(+\lambda\) または \(-\lambda\) が \( K_n A \) の固有値であることは同値である。この場合、\( K_n A \) は \( A \) の行を逆順に並べた行列である。

ヒント

\( K^2=I \) より \( K \) は対角化可能であり、固有値は \( \pm 1 \) のみである。

したがって空間は \( K \) の固有空間の直和に分解できる。

この分解に関して \( A=KAK \) を調べるとブロック対角形が得られる。

解答例

(a) を示す。\( K^2=I \) より、\( K \) は対角化可能であり、ある基底に関して \( K \sim I_m \oplus (-I_{n-m}) \) と書ける。このとき空間は \( V = V_+ \oplus V_- \) と分解される。ただし \( V_+ = \ker(K-I), \; V_- = \ker(K+I) \) である。

条件 \( A = KAK \) は \( KA = AK \) と同値である。したがって \( A \) は \( V_+, V_- \) を不変部分空間として保つ。よってこの分解に関して

A \sim A_{11} \oplus A_{22}

と書ける。

さらに \( K \sim I_m \oplus (-I_{n-m}) \) を用いると

KA \sim (I_m \oplus (-I_{n-m}))(A_{11} \oplus A_{22})
= A_{11} \oplus (-A_{22})

が得られる。

(b) を示す。上の結果より、\( A \) の固有値は \( A_{11} \) または \( A_{22} \) の固有値である。一方、\( KA \) の固有値は \( A_{11} \) の固有値と \( -A_{22} \) の固有値である。

したがって、\( \lambda \) が \( A \) の固有値であれば、\( KA \) の固有値は \( \lambda \) または \( -\lambda \) である。逆に、\( KA \) の固有値が \( \pm \lambda \) であれば、\( \lambda \) は \( A \) の固有値である。

(c) を示す。中心対称行列 \( A \) は逆順行列 \( K_n \) を用いて \( A = K_n A K_n \) を満たす。このとき (a), (b) の結果をそのまま適用できる。

さらに \( K_n A \) は \( A \) の行を逆順に並べた行列であるから、\( \lambda \) が \( A \) の固有値であることと、\( \pm \lambda \) が \( K_n A \) の固有値であることは同値である。

[行列解析3.3]最小多項式とコンパニオン行列
3.3 この節の目次3.3.13.3.2 正方行列の最小多項式3.3.3 系3.3.4 系3.3.63.3.83.3.103.3.13 コンパニオン行列3.3.143.3.153.3問題集3.3.P13.3.P23.3.P33.3.P43....

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