[行列解析3.5.P9]対称三重対角行列のLU分解と固有値

3.標準形と三角因子分解

3.5.P9

3.5.問題9

\( A \in M_n(\mathbb{R}) \) を次の対称三重対角行列(0.9.10)とする:

  • 全主対角成分=+2
  • 第1上三角と下三角成分= -1

次の行列を考える:

L = \begin{bmatrix}
1 &  &  &  \\
-1/2 & 1 &  &  \\
0 & -2/3 & 1 &  \\
\vdots &  & \ddots & \ddots \\
0 & \dots & - (n-1)/n & 1
\end{bmatrix}, \quad
U = \begin{bmatrix}
2 & -1 &  &  \\
0 & 3/2 & -1 &  \\
\vdots & & \ddots & \ddots \\
0 & \dots & 0 & n+1/n
\end{bmatrix}

このとき \( A = L U \) かつ \(\det A = n+1 \) である。A の固有値は次の通りである:

\lambda_k = 4 \sin^2 \frac{k \pi}{2(n+1)}, \quad k = 1, \dots, n

注意:\( n \to \infty \) のとき \(\lambda_1(A) \to 0\)、\(\lambda_n(A) \to 4\)、そして \(\det A = \lambda_1 \cdots \lambda_n \to \infty\) である。

ヒント

与えられた \( A \) は三重対角行列であり、LU 分解は対角成分を順に消去することで構成できる。

対角成分の漸化式を追うと \( U \) の対角要素が決まる。

また固有値は差分方程式として扱うと、三角関数を用いて明示的に求まる。

解答例

行列 \( A \in M_n(\mathbb{R}) \) は対称三重対角行列であり、主対角成分がすべて \( 2 \)、隣接成分がすべて \( -1 \) である。

まず、与えられた行列 \( L, U \) の積を計算することで \( A = LU \) を確認する。三重対角構造により、各成分は

(LU)_{ii} = l_{ii}u_{ii} + l_{i,i-1}u_{i-1,i} = u_{ii} + l_{i,i-1}(-1)

となる。ここで \( l_{ii} = 1 \)、\( u_{i-1,i} = -1 \)、\( l_{i,i-1} = -\frac{i-1}{i} \) を用いると

(LU)_{ii} = u_{ii} + \frac{i-1}{i}

これが \( 2 \) に一致するようにすると、\( u_{ii} = \frac{i+1}{i} \) が得られ、与えられた \( U \) と一致する。

また非対角成分についても同様に計算すると、上三角・下三角の非零成分がそれぞれ \( -1 \) となり、確かに \( A = LU \) が成立する。

次に行列式を求める。LU 分解より

\det A = \det L \cdot \det U

である。ここで \( L \) は単位下三角行列であるから \( \det L = 1 \) であり、\( U \) は上三角行列なので対角成分の積より

\det A = \prod_{i=1}^{n} \frac{i+1}{i} = \frac{2}{1} \cdot \frac{3}{2} \cdots \frac{n+1}{n} = n+1

が得られる。

最後に固有値を求める。固有値問題 \( Ax = \lambda x \) は差分方程式

- x_{i-1} + 2x_i - x_{i+1} = \lambda x_i

を与える。境界条件 \( x_0 = x_{n+1} = 0 \) を課すと、解は

x_i = \sin \left( \frac{ik\pi}{n+1} \right)

の形となる。このとき固有値は

\lambda_k = 2 - 2\cos \left( \frac{k\pi}{n+1} \right) = 4 \sin^2 \left( \frac{k\pi}{2(n+1)} \right)

となる。

したがって、すべての固有値は

\lambda_k = 4 \sin^2 \frac{k\pi}{2(n+1)}, \quad k = 1, \dots, n

で与えられる。また \( n \to \infty \) のとき、最小固有値は \( 0 \) に近づき、最大固有値は \( 4 \) に近づき、行列式は \( n+1 \to \infty \) となる。

[行列解析3.5]三角因子分解と標準形
3.5 この節の目次3.5.1 定義3.5.2 補題3.5.3 定理3.5.4 系3.5.5 例3.5.6 系3.5.7 補題3.5.8 定理3.5.11 定理3.5.12 定義3.5.13 定理3.5.14 定理3.5 三角因子分解と標準...


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