[行列解析3.5.P8]LU分解条件の対称性の証明

3.標準形と三角因子分解

3.5.P8

3.5.問題8

(3.5.6) の条件「\( A[\{1, \dots, j\}] \) が全て非特異」は、「\( A[\{j, \dots, n\}] \) が全て非特異」に置き換え可能であることを示せ。

(3.5.6)

行列 \( A = [a_{ij}] \in M_n \) を考える。

\( A \) が非特異であると仮定する。このとき、\( A \) が LU 分解 \( A = LU \) を持つのは、任意の \( i = 1, \ldots, n \) に対して部分行列 \( A[\{1, \ldots, i\}] \) が非特異である場合に限る。

ヒント

転置を考えることが鍵である。

LU分解の存在条件は先頭主小行列式の非零性で与えられるが、転置をとると後ろ側の主小行列式の条件に対応する。\( A^{\top} \) のLU分解と元の行列のUL分解の関係を利用する。

解答例

(3.5.6) によれば、行列 \( A \in M_n \) が LU 分解 \( A=LU \) を持つための必要十分条件は、すべての先頭主小行列 \( A[\{1,\dots,i\}] \) が非特異であることである。

ここで行列の転置 \( A^{\top} \) を考える。すると \( A=LU \) であれば

A^{\top} = U^{\top} L^{\top}

となる。ここで \( U^{\top} \) は下三角行列、\( L^{\top} \) は上三角行列であるから、これは \( A^{\top} \) の LU 分解と同様の形である。

したがって、(3.5.6) を \( A^{\top} \) に適用すると、\( A^{\top} \) がLU分解を持つための必要十分条件は、すべての先頭主小行列

A^{\top}[\{1,\dots,i\}]

が非特異であることである。

しかし、\( A^{\top} \) の先頭主小行列は、元の行列 \( A \) の末尾側の主小行列に対応する。すなわち

\det A^{\top}[\{1,\dots,i\}] = \det A[\{n-i+1,\dots,n\}]

が成り立つ。したがって、すべての \( i \) に対して \( A^{\top}[\{1,\dots,i\}] \) が非特異であることは、すべての \( j \) に対して \( A[\{j,\dots,n\}] \) が非特異であることと同値である。

以上より、LU分解の存在条件としての「すべての先頭主小行列が非特異である」という条件は、「すべての末尾側主小行列 \( A[\{j,\dots,n\}] \) が非特異である」という条件に置き換えることができる。

[行列解析3.5]三角因子分解と標準形
3.5 この節の目次3.5.1 定義3.5.2 補題3.5.3 定理3.5.4 系3.5.5 例3.5.6 系3.5.7 補題3.5.8 定理3.5.11 定理3.5.12 定義3.5.13 定理3.5.14 定理3.5 三角因子分解と標準...


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