[行列解析3.5.P10]対称行列の\(LL^{\top}\)分解の存在

3.標準形と三角因子分解

3.5.P10

3.5.問題10

\( A \in M_n \) が対称で、すべての先頭主小行列が非特異である場合、非特異下三角行列 \( L \) が存在して \( A = L L^{\top} \) であることを示せ。つまり、LU 分解において \( U = L^{\top} \) となる。

ヒント

与えられた条件より、\( A \) は LU 分解 \( A = LU \) を持つ。さらに \( A \) が対称であることから \( A = A^{\top} \) を用いて、\( LU = U^{\top} L^{\top} \) を比較する。三角行列の一意性を利用すると、\( U = L^{\top} \) が従う。

解答例

仮定より、\( A \in M_n \) は対称行列であり、すべての先頭主小行列が非特異である。このとき、LU 分解の存在定理より、単位下三角行列 \( L \) と上三角行列 \( U \) が存在して

A = LU

と書ける。

一方、\( A \) は対称であるから \( A = A^{\top} \) である。したがって

LU = A = A^{\top} = (LU)^{\top} = U^{\top} L^{\top}

が成り立つ。

ここで、\( L \) は単位下三角行列であり、\( U \) は上三角行列であるから、\( U^{\top} \) は下三角行列、\( L^{\top} \) は上三角行列である。よって上式は

LU = U^{\top} L^{\top}

という、下三角行列と上三角行列の積の2通りの分解を与える。

LU 分解は、対角成分を1に正規化した下三角行列を用いると一意であるから、この分解の一意性により

L = U^{\top}, \quad U = L^{\top}

が従う。

したがって

A = LU = L L^{\top}

となる。ここで \( L \) は非特異な下三角行列である。よって、所望の分解 \( A = L L^{\top} \) が得られる。

[行列解析3.5]三角因子分解と標準形
3.5 この節の目次3.5.1 定義3.5.2 補題3.5.3 定理3.5.4 系3.5.5 例3.5.6 系3.5.7 補題3.5.8 定理3.5.11 定理3.5.12 定義3.5.13 定理3.5.14 定理3.5 三角因子分解と標準...


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