[行列解析3.3.P35]階数1行列の最小多項式と対角化

3.標準形と三角因子分解

3.3.P35

3.3 問題35

\( A \in M_n \) とし、\(\operatorname{rank} A = 1\) であると仮定する。このとき最小多項式が

q_A(t) = t(t - \operatorname{tr} A)

であることを示し、さらに \( A \) が対角化可能であることと \(\operatorname{tr} A \neq 0\) が同値であることを結論しなさい。

ヒント

階数が 1 の行列 \(A\) は \(A=uv^{\top}\) の形に表せる。このとき \(A^2\) を計算すると \(A\) のスカラー倍になることがわかる。そこから満たす多項式を見つければ最小多項式が求まる。また、固有値は 0 と \(\operatorname{tr}A\) のみであり、重複の有無から対角化可能性を判定できる。

解答例

\(\operatorname{rank}A=1\) とする。このとき適当な列ベクトル \(u,v\) を用いて

A = u v^{\top}

と表せる。

このとき \(A^2\) を計算すると

A^2 = u v^{\top} u v^{\top} = (v^{\top}u) \, u v^{\top}

となる。ここでスカラー \(v^{\top}u\) は

v^{\top}u = \operatorname{tr}(uv^{\top}) = \operatorname{tr}A

であるから、

A^2 = (\operatorname{tr}A) A

を得る。よって

A(A - (\operatorname{tr}A)I) = 0

が成り立つ。したがって \(A\) の最小多項式は

q_A(t) = t(t - \operatorname{tr}A)

である。

次に対角化可能性について考える。固有値は上の最小多項式から \(0\) と \(\operatorname{tr}A\) のみである。

もし \(\operatorname{tr}A \neq 0\) ならば、最小多項式は異なる一次因子の積であり、

q_A(t) = t(t - \operatorname{tr}A)

は重複を持たない。したがって \(A\) は対角化可能である。

一方、\(\operatorname{tr}A = 0\) のときは

q_A(t) = t^2

となり、最小多項式は重根を持つ。このとき \(A \neq 0\) であるから対角化可能ではない。

以上より、\(A\) が対角化可能であることと \(\operatorname{tr}A \neq 0\) は同値である。

[行列解析3.3]最小多項式とコンパニオン行列
3.3 この節の目次3.3.13.3.2 正方行列の最小多項式3.3.3 系3.3.4 系3.3.63.3.83.3.103.3.13 コンパニオン行列3.3.143.3.153.3問題集3.3.P13.3.P23.3.P33.3.P43....

行列解析の総本山

総本山の目次📚

[行列解析]総本山📚
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

記号の意味🔎

[行列解析9.0]主要な記号一覧🔎
行列解析で使用している記号や用語の簡単な説明です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました