4.1.P28
4.1.問題28
\(A \in M_n\) が \(B \oplus C\) にユニタリ相似である場合、ここで \(B \in M_k\)、\(C \in M_{n−k}\)、\(1 \le k \le n−1\) とする。このとき、\(A\) はユニタリ可約(unitarily reducible)であると言い、そうでない場合はユニタリ不可約(unitarily irreducible)であると言う。
\(A\) がユニタリ不可約であることは、\(A\) と可換する唯一のエルミート射影行列が零行列と単位行列であることと同値である理由を説明せよ。
ヒント
エルミート射影 \(P\) が \(A\) と可換であるとき、前問より \(A\) は \(P\) に対応する分解に従ってブロック対角化できる。したがって、非自明な射影が存在すれば \(A\) はユニタリ可約となる。逆に、ユニタリ可約ならばその分解に対応する射影が構成できる。
解答例
まず、\(A\) がユニタリ不可約であるとする。このとき、\(A\) はいかなるユニタリ相似によっても非自明な直和分解 \( A \sim B \oplus C \)(ただし \(1 \le k \le n-1\))の形にできない。
ここで、もし \(A\) と可換するエルミート射影 \(P\) が存在し、かつ \(P \neq 0, I\) であると仮定する。このとき前問より、あるユニタリ行列 \(U\) が存在して
A = U (B \oplus C) U^*
と書ける。これは \(A\) がユニタリ可約であることを意味し、仮定に反する。したがって、\(A\) と可換するエルミート射影は \(0\) と \(I\) のみである。
逆に、\(A\) と可換するエルミート射影が \(0\) と \(I\) のみであるとする。もし \(A\) がユニタリ可約であれば、あるユニタリ行列 \(U\) により
A = U (B \oplus C) U^*, \quad 1 \le k \le n-1
と書ける。このとき
P = U (I_k \oplus 0_{n-k}) U^*
とおけば、\(P\) はエルミート射影であり、しかも \(P \neq 0, I\) である。また、ブロック対角行列の可換性より
AP = PA
が成り立つ。これは仮定に反する。
したがって、\(A\) はユニタリ可約ではありえず、ユニタリ不可約である。
以上より、\(A\) がユニタリ不可約であることと、\(A\) と可換するエルミート射影が \(0\) と \(I\) のみであることは同値である。

行列解析の総本山
総本山の目次📚

記号の意味🔎


コメント