4.1.P27
4.1.問題27
\(A, P \in M_n\) とし、\(P\) が \(0\) でも \(I\) でもないエルミート射影であるとする。このとき、\(A\) が \(P\) と可換であることと、\(A\) があるユニタリ相似によって
A \sim B \oplus C, \quad B \in M_k, \; C \in M_{n-k}, \; 1 \leq k \leq n-1
の形にできることは同値であることを示せ。
ヒント
エルミート射影 \(P\) はユニタリ相似により \(I_k \oplus 0\) の形にできる。このとき、\(A\) が \(P\) と可換である条件を、この標準形に移した後で考えると、\(A\) がブロック対角形になることが分かる。
解答例
まず、\(P\) はエルミート射影であり、\(0\) でも \(I\) でもないので、あるユニタリ行列 \(U\) が存在して
P = U (I_k \oplus 0_{n-k}) U^*, \quad 1 \leq k \leq n-1
と書ける。
このとき、\(A\) が \(P\) と可換であることは
AP = PA
である。ここで \( \widetilde{A} = U^* A U \) とおくと、この条件は
\widetilde{A} (I_k \oplus 0) = (I_k \oplus 0)\widetilde{A}
と同値である。
ここで \(\widetilde{A}\) をブロック行列
\widetilde{A} =
\begin{bmatrix}
B & X \\
Y & C
\end{bmatrix}
と分割すると、可換条件より
\begin{bmatrix}
B & X \\
0 & 0
\end{bmatrix}
=
\begin{bmatrix}
B & 0 \\
Y & 0
\end{bmatrix}
が得られる。したがって
X = 0, \quad Y = 0
となり、\(\widetilde{A}\) はブロック対角行列
\widetilde{A} = B \oplus C
となる。よって
A = U (B \oplus C) U^*
すなわち \(A\) はユニタリ相似により \(B \oplus C\) の形にできる。
逆に、\(A\) があるユニタリ行列 \(U\) により
A = U (B \oplus C) U^*
と書けるとする。このとき
P = U (I_k \oplus 0) U^*
とおけば、ブロック対角行列同士は可換であるから
(B \oplus C)(I_k \oplus 0) = (I_k \oplus 0)(B \oplus C)
が成り立ち、ユニタリ変換を戻すことで
AP = PA
が従う。
以上より、\(A\) が \(P\) と可換であることと、\(A\) がユニタリ相似により \(B \oplus C\) の形に分解できることは同値である。

[行列解析4.1]エルミート行列の性質と特徴 (Properties and characterizations of Hermitian matrices)
4.1.1 定義(エルミート行列)4.1.2 定理(テプリッツ分解)4.1.3 定理4.1.4 定理4.1.5 定理4.1.6 定理4.1.7 定理4.1.8 定理4.1.9 定義(正定値・半正定値・不定値)4.1.10 定理4.1.11 ...
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