8.1.26 定理:非負行列に対するスペクトル半径の一般化された評価式
非負行列 \( A = [a_{ij}] \in M_n \) と、正のベクトル \( x = [x_i] \in \mathbb{R}^n \) に対して、次の不等式が成り立つ。
(8.1.27)
\min_{1 \le i \le n}
\frac{1}{x_i}
\sum_{j=1}^{n} a_{ij} x_j
\le
\rho(A)
\le
\max_{1 \le i \le n}
\frac{1}{x_i}
\sum_{j=1}^{n} a_{ij} x_j
\tag{8.1.27}
同様に、列方向の形でも次の評価式が成立する。
(8.1.28)
\min_{1 \le j \le n}
x_j
\sum_{i=1}^{n}
\frac{a_{ij}}{x_i}
\le
\rho(A)
\le
\max_{1 \le j \le n}
x_j
\sum_{i=1}^{n}
\frac{a_{ij}}{x_i}
\tag{8.1.28}
この定理は、非負行列のスペクトル半径を行和や列和だけでなく、任意の正のベクトルによって重みづけた一般形として評価できることを示している。
特に、\(x_i = 1\) とすれば、先の定理 (8.1.22) の結果をそのまま得ることができる。
行列解析の総本山

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行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

  
  
  
  
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