[行列解析3.5.P2]QR分解を用いた連立方程式の解法

3.標準形と三角因子分解

3.5.P2

3.5.問題2

\( A \) が \( A = QR \) の形で与えられ、\( Q \) がユニタリ行列、\( R \) が上三角行列である場合(2.1.14)、どのようにして方程式 \( Ax = b \) を解くか説明せよ。

ヒント

\(A=QR\) と分解されているとき、\(Q\) はユニタリ行列であるから \(Q^{-1}=Q^{\top}\) が成り立つ。

この性質を用いて方程式 \(Ax=b\) を簡単な形に変形する。最終的には上三角行列 \(R\) に対する連立方程式に帰着し、後退代入で解くことができる。

解答例

\(A=QR\)(ただし \(Q\) はユニタリ行列、\(R\) は上三角行列)とする。

このとき連立一次方程式 \( Ax=b \) を解くことを考える。

まず \(A=QR\) を代入すると \( QRx = b \) となる。

ここで両辺の左から \(Q^{\top}\) を掛けると、\(Q^{\top}Q=I\) より \( Rx = Q^{\top} b \) を得る。

Rx = Q^{\top} b

右辺を \(c = Q^{\top}b\) とおけば、問題は上三角行列 \(R\) に対する連立方程式 \( Rx = c \) を解くことに帰着する。

上三角行列に対する連立方程式は、最後の成分から順に未知数を決定する後退代入により解くことができる。すなわち、\(R=(r_{ij})\) とすると、

x_n = \frac{c_n}{r_{nn}}, \quad
x_{n-1} = \frac{c_{n-1} - r_{n-1,n}x_n}{r_{n-1,n-1}}, \quad \ldots

のようにして順次 \(x\) を求めることができる。

以上より、\(Ax=b\) の解法は、まず \(c=Q^{\top}b\) を計算し、その後 \(Rx=c\) を後退代入で解く、という手順で実行できる。この方法は数値的に安定であり、実用上重要である。

[行列解析3.5]三角因子分解と標準形
3.5 この節の目次3.5.1 定義3.5.2 補題3.5.3 定理3.5.4 系3.5.5 例3.5.6 系3.5.7 補題3.5.8 定理3.5.11 定理3.5.12 定義3.5.13 定理3.5.14 定理3.5 三角因子分解と標準...


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