3.5.P1
3.5.問題1
これまで、\( L \) が下三角行列で \( U \) が上三角行列である \( A = LU \) の分解について議論してきた。
ここで、因子が異なる場合もあることに注意しながら、\( A = UL \) 分解の平行理論について議論せよ。
ヒント
\(A=LU\) 分解では、下三角行列 \(L\) と上三角行列 \(U\) に分解した。
これに対し \(A=UL\) 分解では順序が逆になる。
行列の転置を考えると、\(A^{\top}\) に対する \(LU\) 分解と関係づけられることが重要である。
また、存在条件や一意性も \(LU\) 分解と同様にピボット条件(主座小行列の非零性)に依存する。
解答例
まず \(A \in M_n\) に対して、\(A=UL\) 分解とは、上三角行列 \(U\) と下三角行列 \(L\) を用いて \( A = UL \) と表す分解である。
この分解は、転置を用いることで \(LU\) 分解と密接に関係する。実際、 \( A = UL \) とすると両辺の転置をとることで \( A^{\top} = L^{\top} U^{\top} \) が得られる。 ここで \(L^{\top}\) は上三角行列、\(U^{\top}\) は下三角行列であるから、これは \(A^{\top}\) の \(LU\) 分解になっている。
したがって、\(A\) が \(UL\) 分解をもつことと、\(A^{\top}\) が \(LU\) 分解をもつことは同値である。
このことから、\(UL\) 分解の存在条件は、\(LU\) 分解の条件を転置したものになる。
\det A_{n-k+1:n,\;n-k+1:n} \neq 0 \quad (k=1,\ldots,n)
すなわち、右下の主座小行列がすべて正則であることが必要十分条件となる。
また一意性についても、対角成分を1に正規化することで一意に定まる。例えば \(L\) の対角成分をすべて1とするなどの規格化を課せば、\(U\) と \(L\) は一意に決まる。
さらに、\(LU\) 分解と同様に、一般の行列では必ずしもそのままでは分解できず、行の入れ替えを伴う場合がある。このときは置換行列 \(P\) を用いて \( PA = UL \) の形で分解することができる。
以上より、\(UL\) 分解は \(LU\) 分解と対称的な理論を持ち、転置によって両者は本質的に同値であるが、主座小行列の位置(左上か右下か)が異なる点に注意する必要がある。

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