[行列解析3.4.P8]

3.4.問題8

3.4.P8

ワイル標準形とジョルダン標準形の間の置換相似を構成するアルゴリズムは、標準ヤング図形(Young tableau)として知られる興味深い数学的対象を含む。

例えば、\(J = J_3(0)\oplus J_2(0)\in M_5\) を考える。これはワイル特性 \(w_1=2,\; w_2=2,\; w_3=1\) を持つ。

(a) この行列に対応する点図(dot diagram、3.1.P11)とワイル標準形が次であることを確認せよ:

\begin{array}{cc}
 • & • \\
 • & • \\
 • &  
\end{array}\quad 
\begin{array}{cc}
 1 & 2 \\
 3 & 4 \\
 5 &  
\end{array} \quad 
W =
\begin{bmatrix}
0_{2} & I_{2} &  \\
 & 0_{2} & G_{2,1} \\
 &  & 0_{1}
\end{bmatrix} \in M_5

点図:\(\begin{array}{cc} • & • \\ • & • \\ • & \\ \end{array} \) ワイル標準形:\( W = \begin{bmatrix} 0_{2} & I_{2} & \\ 0_{2} & 0_{2} & G_{2,1} \\ 0_{1} & 0_{1} & 0_{1} \end{bmatrix} \in M_5 \)

点図に左から右、行ごとに上から下へ連続する整数 \(1,\ldots,5\) を貼り付ける(このラベル付けされた点図がヤング表(Young tableau)である)。

次に、ラベル付けした図を列ごとに上から下へ、左から右へ読んでいき、その得られた列を用いて置換σを構成する。

ヤング表:\( \begin{array}{cc}1 & 2 \\ 3 & 4 \\ 5 &\end{array} \)このヤング表は置換σを与える:\( \sigma = \begin{pmatrix} 1 & 2 & 3 & 4 & 5 \\ 1 & 3 & 5 & 2 & 4 \end{pmatrix}\)

置換σに対応する置換行列 \(P=[e_1\; e_3\; e_5\; e_2\; e_4]\in M_5\) (単位行列 \(I_5\) の列をσで並べ替えたもの)を作る。すると直接確かめられるように \(J = P^T W P\)、したがって \(W = P J P^T\) が成り立つ。

\sigma = \begin{pmatrix} 1 & 2 & 3 & 4 & 5 \\ 1 & 3 & 5 & 2 & 4 \end{pmatrix}

一般に、与えられたワイル形 \(W\in M_n\) とそれに対応するジョルダン形 \(J\) の間の置換相似を作るには、まずワイル特性の点図に対して各行を左から右へ、上から下へ順に連続整数 \(1,2,\ldots,n\) をラベルしてヤング表を作る。次にヤング表を列ごとに上から下へ、左から右へ読み、その順序で得られた数列を第2行に置いた行列 \(\sigma\in M_{2,n}\) を作る(第1行は \(1,2,\ldots,n\))。最後に \(\sigma\) の第2行が指定する順序で単位行列 \(I_n\) の列を並べ替えて置換行列 \(P=[e_{\sigma_{2,1}}\, e_{\sigma_{2,2}}\,\cdots\, e_{\sigma_{2,n}}]\) を作る。すると \(J = P^T W P\) かつ \(W = P J P^T\) が成り立つ。

(b) なぜこのアルゴリズムが正しいのか説明せよ。

(c) このアルゴリズムを使って (3.1.16a) のジョルダン行列とそのワイル標準形との間の置換相似を構成し、それが実際に働くことを確かめよ。


参考:Matrix Analysis:Second Edition ISBN 0-521-30587-X.(当サイトは公式と無関係です)

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