[行列解析3.3.P23]コンパニオン行列の対角化可能条件

3.標準形と三角因子分解

3.3.P23

3.3 問題23

コンパニオン行列(companion matrix)は、固有値がすべて異なる場合に限り対角化可能であることを示しなさい。

ヒント

コンパニオン行列の特性多項式は定義により与えられた多項式そのものである。固有値がすべて異なるとき、幾何学的重複度は代数的重複度に一致することを用いる。また、固有値が重複するときには最小多項式の次数とジョルダン標準形の構造に注目する。

解答例

\( A \in M_n \) をコンパニオン行列とし、その特性多項式を \( p(t) = t^n + a_{n-1} t^{n-1} + \cdots + a_0 \) とする。このとき定義より、\( A \) の特性多項式はちょうど \( p(t) \) である。

まず、\( p(t) \) の根(固有値)がすべて異なる場合を考える。このとき、固有値 \( \lambda_1, \ldots, \lambda_n \) は互いに異なるので、それぞれに対して一次独立な固有ベクトルが存在する。したがって、\( n \) 個の一次独立な固有ベクトルが得られる。

よって、ある正則行列 \( P \) を用いて \( P^{-1} A P \) は対角行列となる。すなわち、\( A \) は対角化可能である。

次に、逆を示す。すなわち、固有値が重複する場合には対角化可能でないことを示す。コンパニオン行列は巡回ベクトルを持つ行列であり、その最小多項式は特性多項式に一致する。

q_A(t) = p(t)

したがって、もし固有値 \( \lambda \) が重複度 \( m \geq 2 \) をもつならば、最小多項式にも因子 \( (t-\lambda)^m \) が現れる。

一方、行列が対角化可能であるための必要十分条件は、最小多項式が重根をもたないことである。すなわち、最小多項式が一次式の積として書けることである。

しかし、ここでは \( q_A(t) = p(t) \) が重根をもつため、最小多項式は重複因子を含む。このことから、ジョルダン標準形にはサイズ \( 2 \) 以上のブロックが現れ、対角化は不可能である。

以上より、コンパニオン行列は固有値がすべて異なる場合に限り対角化可能である。

[行列解析3.3]最小多項式とコンパニオン行列
3.3 この節の目次3.3.13.3.2 正方行列の最小多項式3.3.3 系3.3.4 系3.3.63.3.83.3.103.3.13 コンパニオン行列3.3.143.3.153.3問題集3.3.P13.3.P23.3.P33.3.P43....

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