[行列解析3.3.P33]多項式の根の絶対値の二乗和評価

3.標準形と三角因子分解

3.3.P33

3.3 問題33

(3.3.11)
p(t) = t^n + a_{n-1}t^{n-1} + a_{n-2}t^{n-2} + \cdots + a_1 t + a_0 

(3.3.11) の多項式 \( p \) の根を \( z_1, \ldots, z_n \) とする。このとき次を示しなさい。

\frac{1}{n} \sum_{i=1}^n |z_i|^2 
\leq 1 - \frac{1}{n} + \frac{1}{n} \sum_{i=0}^{n-1} |a_i|^2
\lt 1 + \max_{0 \leq i \leq n-1} |a_i|^2

ヒント

多項式の係数と根の関係(ヴィエタの公式)を利用する。特に、\(\sum |z_i|^2\) は \(\sum z_i \overline{z_i}\) と書けるので、係数との関係を考えるために行列的な見方や不等式評価を用いるとよい。また、平均値と最大値の関係 \(\frac{1}{n}\sum x_i \leq \max x_i\) を用いる。

解答例

多項式

p(t)=t^n + a_{n-1}t^{n-1} + \cdots + a_1 t + a_0

の根を \(z_1,\ldots,z_n\) とする。まず、基本的な恒等式として

\sum_{i=1}^n |z_i|^2 = \sum_{i=1}^n z_i \overline{z_i}

が成り立つ。

このとき、コンパニオン行列

C = \begin{pmatrix}
0 & 0 & \cdots & 0 & -a_0 \\
1 & 0 & \cdots & 0 & -a_1 \\
0 & 1 & \cdots & 0 & -a_2 \\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots & \vdots \\
0 & 0 & \cdots & 1 & -a_{n-1}
\end{pmatrix}

を考えると、その固有値は \(z_1,\ldots,z_n\) である。よって、フロベニウスノルムを用いて

\sum_{i=1}^n |z_i|^2 \leq \|C\|_F^2

が成り立つ。

ここで、フロベニウスノルムは成分の二乗和であるから、

\|C\|_F^2 = (n-1) + \sum_{i=0}^{n-1} |a_i|^2

となる。したがって、

\sum_{i=1}^n |z_i|^2 \leq (n-1) + \sum_{i=0}^{n-1} |a_i|^2

を得る。両辺を \(n\) で割ると、

\frac{1}{n} \sum_{i=1}^n |z_i|^2 
\leq 1 - \frac{1}{n} + \frac{1}{n} \sum_{i=0}^{n-1} |a_i|^2

が得られる。

さらに、任意の非負数列に対して平均は最大値以下であるから、

\frac{1}{n} \sum_{i=0}^{n-1} |a_i|^2 
\leq \max_{0 \leq i \leq n-1} |a_i|^2

が成り立つ。これより、

1 - \frac{1}{n} + \frac{1}{n} \sum_{i=0}^{n-1} |a_i|^2
< 1 + \max_{0 \leq i \leq n-1} |a_i|^2

が従う。

以上により、所望の不等式が示された。

[行列解析3.3]最小多項式とコンパニオン行列
3.3 この節の目次3.3.13.3.2 正方行列の最小多項式3.3.3 系3.3.4 系3.3.63.3.83.3.103.3.13 コンパニオン行列3.3.143.3.153.3問題集3.3.P13.3.P23.3.P33.3.P43....

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