4.4.P9
4.4.問題9
行列 \(A \in M_n\) とする。
(a) \(U A U^*\) が実行列となるユニタリ行列
\(U \in M_n\) が存在することは、対称ユニタリ \(W \in M_n\) が存在して
\(\overline{A} = W A W^* = W A \overline{W}\) であることと同値である。
(b) \(U A U^{\top}\) が実行列となるユニタリ行列
\(U \in M_n\) が存在することは、対称ユニタリ \(W \in M_n\) が存在して
\(\overline{A} = W A W^{\top} = W A W\) であることと同値である。
ヒント
(a) では \(B=UAU^*\) とおき、\(B\) が実行列であることから \(\overline{B}=B\) を用いる。得られる関係式から \(W=U^{\top} U\) またはその共役転置を適切に選ぶと、\(W\) が対称ユニタリ行列となることを示せばよい。逆向きには、対称ユニタリ行列 \(W\) を \(W=U^{\top} U\) と因子分解する。
(b) も同様に \(B=UAU^{\top}\) とおき、\(\overline{B}=B\) を利用する。(a) と異なり、転置合同では \(W=U^{\top} U\) と直接おくことで \(\overline{A}=WAW\) が得られる。逆向きには、対称ユニタリ行列の因子分解 \(W=U^{\top} U\) を用いる。
解答例
まず (a) を示す。\(U\) はユニタリ行列であり、\(UAU^*\) が実行列となると仮定する。\(B=UAU^*\) とおくと、\(B\) は実行列なので \(\overline{B}=B\) である。したがって、
\overline{UAU^*}
=
UAU^*
左辺を複素共役すると、
\overline{U}\,\overline{A}\,U^{\top}
=
UAU^*
ここで左から \(U^*\)、右から \(U\) を掛けると、
U^*\overline{U}\,\overline{A}\,U^{\top}U=A.
ユニタリ性より \(U^{\top}U=(U^*\overline{U})^*\) であるから、
\overline{A}
=
U^{\top}U A U^*\overline{U}.
ここで
W=U^{\top}U
とおく。この \(W\) は対称である。実際、
W^{\top}=(U^{\top}U)^{\top}=U^{\top}U=W.
また \(W\) はユニタリである。したがって \(W^*=\overline{W}=U^*\overline{U}\) であり、
\overline{A}=WAW^*=WA\overline{W}
を得る。これで (a) の一方向が示された。
逆に、対称ユニタリ行列 \(W\) が存在して \(\overline{A}=WAW^*\) を満たすと仮定する。対称ユニタリ行列の因子分解より、あるユニタリ行列 \(U\) が存在して
W=U^{\top}U
と書ける。このとき \(W^*=U^*\overline{U}\) である。したがって、
\begin{aligned}
\overline{UAU^*}
&=\overline{U}\,\overline{A}\,U^{\top}\\
&=\overline{U}WAW^*U^{\top}\\
&=\overline{U}U^{\top}U A U^*\overline{U}U^{\top}\\
&=UAU^*
\end{aligned}
よって \(UAU^*\) は実行列である。したがって (a) が示された。
次に (b) を示す。\(U\) がユニタリ行列であり、\(UAU^{\top}\) が実行列であると仮定する。\(B=UAU^{\top}\) とおけば、
\overline{B}=B
である。したがって、
\overline{U}\,\overline{A}\,U^*
=
UAU^{\top}
左から \(U^{\top}\)、右から \(U\) を掛ける。ユニタリ性から \(U^{\top}\overline{U}=I\) なので、
\overline{A}
=
U^{\top}UAU^{\top}U
ここで
W=U^{\top}U
とおけば、
\overline{A}=WAW
また、
W^{\top}=(U^{\top}U)^{\top}=U^{\top}U=W
であるから \(W\) は対称である。さらに \(W\) はユニタリである。したがって、
\overline{A}=WAW^{\top}=WAW
を得る。これで (b) の一方向が示された。
逆に、対称ユニタリ行列 \(W\) が存在して \(\overline{A}=WAW^{\top}=WAW\) を満たすと仮定する。対称ユニタリ行列の因子分解により、あるユニタリ行列 \(U\) が存在して
W=U^{\top}U
と書ける。このとき \(U^{\top}\overline{U}=I\) である。したがって、
\begin{aligned}
\overline{UAU^{\top}}
&=\overline{U}\,\overline{A}\,U^*\\
&=\overline{U}WAWU^*\\
&=\overline{U}U^{\top}UAU^{\top}U\\
&=UAU^{\top}
\end{aligned}
よって \(UAU^{\top}\) は実行列である。したがって (b) も示された。
以上により、(a)、(b) ともに、指定されたユニタリ変換によって \(A\) を実行列にできることと、適切な対称ユニタリ行列 \(W\) によって \(\overline{A}\) を \(A\) からユニタリ合同の形で表せることが同値である。

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