[行列解析4.3.P20]ブロック行列の固有値と重複度

4.エルミート行列、対称行列、合同行列

4.3.P20 

4.3.問題20

\( \lambda \in \mathbb{C}, a \in \mathbb{R}, y \in \mathbb{C}^n \) とし、

A = \begin{bmatrix}
\lambda I_n & y \\
y^* & a
\end{bmatrix} \in M_{n+1}

とする。(4.3.17) を用いて、\( \lambda \) が少なくとも \( n-1 \) 重の固有値であることを示せ。他の2つの固有値は何か?

ヒント

左上ブロックは \( \lambda I_n \) であるから、その固有値はすべて \( \lambda \) である。(4.3.17) の挟み込み定理を用いると、行列 \(A\) の固有値のうち少なくとも \(n-1\) 個が \( \lambda \) に一致することが分かる。残り2つの固有値は特性方程式を求めて計算する。

解答例

行列 \( B=\lambda I_n \) とおくと、

A=
\begin{bmatrix}
B & y\\
y^* & a
\end{bmatrix}

である。\(B\) の固有値はすべて \( \lambda \) であるから、

\lambda_1(B)=\lambda_2(B)=\cdots=\lambda_n(B)=\lambda

となる。(4.3.17) より

\lambda_1(A)
\le
\lambda
\le
\lambda_2(A)
\le
\lambda
\le
\cdots
\le
\lambda
\le
\lambda_n(A)
\le
\lambda
\le
\lambda_{n+1}(A)

を得る。この不等式から

\lambda_2(A)
=
\lambda_3(A)
=
\cdots
=
\lambda_n(A)
=
\lambda

となる。したがって、\( \lambda \) は少なくとも \(n-1\) 重の固有値である。

残り2つの固有値を求めるため、特性多項式を計算する。Schur補行列を用いると、

\det(tI_{n+1}-A)
=
(t-\lambda)^{\,n-1}
\left(
(t-\lambda)(t-a)-y^*y
\right)

となる。したがって、残り2つの固有値は二次方程式 \( (t-\lambda)(t-a)-y^*y=0 \) の解である。

t
=
\frac{\lambda+a
\pm
\sqrt{(\lambda-a)^2+4\,y^*y}}{2}

よって、\(A\) の固有値は、\( \lambda \) が少なくとも \(n-1\) 重に現れ、残り2つは

\frac{\lambda+a
\pm
\sqrt{(\lambda-a)^2+4\,\|y\|_2^2}}{2}

である。

[行列解析4.3]エルミート行列に関する固有値の不等式
この節の目次4.3.1 定理(ヴェイアの定理)4.3.3 系4.3.5 系4.3.7 系4.3.9 系4.3.12 系4.3.15 系4.3.17 定理(Cauchy)4.3.21 定理4.3.26 定理4.3.28 定理4.3.34 系4...


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