[行列解析4.2.P4]最大特異値と列ベクトルの評価

4.エルミート行列、対称行列、合同行列

4.2.P4

4.2.問題4

\( A = [a_{ij}] = [a_1 \ldots a_n] \in M_n \) とし、\(\sigma_1\) を \( A \) の最大特異値とする。前問をエルミート行列 \( A^{*} A \) に適用して次を示しなさい。

\sigma_1 \geq \lVert a_j \rVert_2 \geq |a_{ij}|, \quad i,j = 1, \ldots, n

ヒント

エルミート行列 \( A^*A \) に対して前問の結果を適用する。

特に、対角成分 \( (A^*A)_{jj} \) が列ベクトルのノルムの二乗 \( \lVert a_j \rVert_2^2 \) に一致することを用いる。

また最大固有値は \( \sigma_1^2 \) に等しい。

解答例

\( A = [a_1 \ \cdots \ a_n] \in M_n \) とし、\( \sigma_1 \) を最大特異値とする。このときエルミート行列 \( A^*A \) の最大固有値は \( \lambda_{\max}(A^*A) = \sigma_1^2 \) である。

前問の結果より、任意の \( j \) に対して

\lambda_{\max}(A^*A) \geq (A^*A)_{jj} \geq \lambda_{\min}(A^*A)

が成り立つ。ここで \( (A^*A)_{jj} = a_j^* a_j = \lVert a_j \rVert_2^2 \) であるから、

\sigma_1^2 \geq \lVert a_j \rVert_2^2

が得られる。したがって \( \sigma_1 \geq \lVert a_j \rVert_2 \) である。

さらに、列ベクトルの各成分については

\lVert a_j \rVert_2^2 = \sum_{i=1}^n |a_{ij}|^2

であるから、各項について \( |a_{ij}|^2 \leq \lVert a_j \rVert_2^2 \) が成り立ち、

|a_{ij}| \leq \lVert a_j \rVert_2

が従う。

以上より \( \sigma_1 \geq \lVert a_j \rVert_2 \geq |a_{ij}| \) がすべての \( i, j \) に対して成立する。

[行列解析4.2]変分的特徴づけと部分空間の交わり
この節の目次4.2.2 定理(レイリー)4.2.3 補題 4.2.3(部分空間の共通部分)4.2.4 補題4.2.5 観察4.2.6 定理 4.2.6(クーラント=フィッシャー)4.2.10 定理4.2.11 系4.2問題集P1P2P3P4...


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