[行列解析3.5.P6]LU分解と(n,n)成分の無関係性

3.標準形と三角因子分解

3.5.P6

3.5.問題6

\( M_n \) の与えられた行列の \( (n,n) \) 成分が、LU 分解の存在、L が非特異な場合、U が非特異な場合に影響を与えない理由を説明せよ。

ヒント

LU分解の存在条件は、先頭主小行列式がすべて非零であることに依存する。

これは \( (n,n) \) 成分単体ではなく、上から順に構成される部分行列に依存する。

また、\( L \) や \( U \) の可逆性も対角成分に依存するが、特に \( (n,n) \) 成分だけが独立に影響するわけではない点に注意する。

解答例

LU分解 \( A=LU \) の存在条件は、各段階でピボットが非零であること、すなわちすべての先頭主小行列式が非零であることである。これは \( \det A_k \neq 0 \)(\( k=1,\dots,n \)) という条件で表される。

A_k =
\begin{bmatrix}
a_{11} & \cdots & a_{1k} \\
\vdots &        & \vdots \\
a_{k1} & \cdots & a_{kk}
\end{bmatrix}

ここで \( (n,n) \) 成分は最終段階でのみ現れる要素であり、それ以前の段階の消去過程や分解の可否には影響しない。したがって、LU分解の存在は \( (n,n) \) 成分単体には依存しない。

次に、\( L \) が非特異であるための条件を考える。通常、\( L \) は単位下三角行列として構成されるため、その対角成分はすべて 1 であり、

\det L = 1

となる。よって \( L \) は常に非特異であり、特に \( (n,n) \) 成分とは無関係である。

一方、\( U \) の非特異性は対角成分の積に依存し、 \( \det U = u_{11}u_{22}\cdots u_{nn} \) である。ここで \( u_{nn} \) は消去の最終段階で決まるが、それは \( (n,n) \) 成分そのものではなく、前段階の操作を経た結果として決まる値である。

したがって、元の行列の \( (n,n) \) 成分は、LU分解の存在、ならびに \( L \) や \( U \) の非特異性に対して本質的な影響を与えない。

[行列解析3.5]三角因子分解と標準形
3.5 この節の目次3.5.1 定義3.5.2 補題3.5.3 定理3.5.4 系3.5.5 例3.5.6 系3.5.7 補題3.5.8 定理3.5.11 定理3.5.12 定義3.5.13 定理3.5.14 定理3.5 三角因子分解と標準...


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