[行列解析3.3.P8]直和行列の最小多項式と対角化条件

3.標準形と三角因子分解

3.3 問題8

3.3.P8

\( A_i \in M_{n_i} \ (i=1, \ldots, k) \) とし、それぞれの最小多項式を \( q_{A_i}(t) \) とする。

このとき、直和 \( A = A_1 \oplus \cdots \oplus A_k \) の最小多項式は、\( q_{A_1}(t), \ldots, q_{A_k}(t) \) の最小公倍多項式であることを示せ。

これは、それぞれの \( q_i(t) \) を割り切る最小次数のモニック多項式である。

この結果を用いて、(1.3.10) の別証明を与えよ。

ヒント

直和行列では多項式の作用が各ブロックごとに独立に働くことに注意する。すなわち \( q(A)=0 \) は各 \( A_i \) に対して \( q(A_i)=0 \) が成り立つことと同値である。

したがって、最小多項式は各 \( q_{A_i}(t) \) を同時に消す最小次数のモニック多項式、すなわち最小公倍多項式になる。

解答例

まず \( A=A_1\oplus\cdots\oplus A_k \) とする。

任意の多項式 \( q(t) \) に対して

q(A)=q(A_1)\oplus q(A_2)\oplus\cdots\oplus q(A_k)

が成り立つ。

したがって \( q(A)=0 \) であることと

q(A_1)=0,\quad q(A_2)=0,\quad \cdots,\quad q(A_k)=0

が同時に成り立つことは同値である。

よって \( A \) を消す多項式は、すべての \( q_{A_i}(t) \) を割り切る多項式である必要がある。

この中で最小次数のモニック多項式は

q_A(t)=\mathrm{lcm}\bigl(q_{A_1}(t),\cdots,q_{A_k}(t)\bigr)

である。これが \( A \) の最小多項式である。

次にこの結果を用いて (1.3.10) を示す。

\( B=B_1\oplus\cdots\oplus B_d \) とすると、その最小多項式は

q_B(t)=\mathrm{lcm}\bigl(q_{B_1}(t),\cdots,q_{B_d}(t)\bigr)

である。

ここで行列が対角化可能であることは、最小多項式が重根を持たないことと同値である。

したがって \( B \) が対角化可能であるためには、\( q_B(t) \) が重根を持たない必要がある。

しかし最小公倍多項式が重根を持たないためには、各 \( q_{B_i}(t) \) も重根を持たないことが必要十分である。

よって \( B \) が対角化可能であることと、すべての \( B_i \) が対角化可能であることは同値である。


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