[行列解析3.2.P21]積行列ABとBAのジョルダン標準形の比較

3.標準形と三角因子分解

3.2.P21

3.2問題21

\(A=\begin{pmatrix} J_2(0) & 0 \\ x^T & 0 \end{pmatrix}\in M_3\) で \(x^T=[1\;0]\)、\(B=I_2\oplus[0]\in M_3\) とする。AB のジョルダン標準形が \(J_3(0)\) であり、BA のジョルダン標準形が \(J_2(0)\oplus J_1(0)\) であることを示せ。

ヒント

まず \(A,B\) を具体的な行列として書き下す。ここで \(J_2(0)=\begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix}\) であり、\(x^{\top}=[1\;0]\) である。したがって \(A\) は \(3\times3\) 行列として明示的に書ける。次に \(AB\) と \(BA\) を計算する。最後に \((AB)^2,(AB)^3\) および \((BA)^2\) を調べて冪零指数を求めると、ジョルダンブロックのサイズが決定できる。

解答例

まず \(J_2(0)=\begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix}\) および \(x^{\top}=[1\;0]\) であるから、行列 \(A\) は

A=
\begin{pmatrix}
0&1&0\\
0&0&0\\
1&0&0
\end{pmatrix}

と書ける。また \(B=I_2\oplus[0]\) であるから

B=
\begin{pmatrix}
1&0&0\\
0&1&0\\
0&0&0
\end{pmatrix}

となる。

まず積 \(AB\) を計算すると

AB=
\begin{pmatrix}
0&1&0\\
0&0&0\\
1&0&0
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
1&0&0\\
0&1&0\\
0&0&0
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
0&1&0\\
0&0&0\\
1&0&0
\end{pmatrix}

となる。

次に冪を計算する。

(AB)^2=
\begin{pmatrix}
0&0&0\\
0&0&0\\
0&1&0
\end{pmatrix},\qquad
(AB)^3=0

したがって \(AB\) は指数 3 の冪零行列であり、階数の減少は \(\mathrm{rank}(AB)=2\), \(\mathrm{rank}(AB)^2=1\), \(\mathrm{rank}(AB)^3=0\) となる。これはサイズ 3 のジョルダンブロックが1つ存在する場合に対応する。よって

AB \sim J_3(0)

である。

次に \(BA\) を計算する。

BA=
\begin{pmatrix}
1&0&0\\
0&1&0\\
0&0&0
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
0&1&0\\
0&0&0\\
1&0&0
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
0&1&0\\
0&0&0\\
0&0&0
\end{pmatrix}

さらに

(BA)^2=0

である。したがって \(BA\) は指数 2 の冪零行列であり、ランクは \(\mathrm{rank}(BA)=1\) である。これはサイズ 2 のジョルダンブロックとサイズ 1 のジョルダンブロックが存在する場合に対応する。

よって

BA \sim J_2(0)\oplus J_1(0)

が成り立つ。


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