[行列解析4.1.P24]余因子行列のエルミート性と正定値性

4.エルミート行列、対称行列、合同行列

4.1.P24

4.1.問題24

\(A \in M_n\) をエルミート行列とする。このとき次を説明せよ:

  1. (a) \(\operatorname{adj}(A)\) はエルミートである。
  2. (b) \(A\) が半正定値なら \(\operatorname{adj}(A)\) も半正定値である。
  3. (c) \(A\) が正定値なら \(\operatorname{adj}(A)\) も正定値である。

ヒント

余因子行列は \( \operatorname{adj}(A) = (\det A) A^{-1} \)(\(A\) が可逆なとき)で表される。

また、随伴との関係 \( (A^{-1})^* = (A^*)^{-1} \) を用いるとよい。

さらに、半正定値・正定値については固有値の性質に着目する。

解答例

(a) \(A\) がエルミートであるとする。まず \(A\) が可逆な場合を考える。このとき

\operatorname{adj}(A) = (\det A) A^{-1}

が成り立つ。ここで \(A^* = A\) より

(A^{-1})^* = (A^*)^{-1} = A^{-1}

となる。また、エルミート行列の行列式は実数であるから \( \overline{\det A} = \det A \) である。したがって

\operatorname{adj}(A)^* = (\det A) (A^{-1})^* = (\det A) A^{-1} = \operatorname{adj}(A)

より、\(\operatorname{adj}(A)\) はエルミートである。

\(A\) が特異な場合も、余因子行列は多項式的に定義されるため、極限を取ることで同様にエルミート性が保たれる。

(b) \(A\) が半正定値であるとする。固有値を \( \lambda_1, \ldots, \lambda_n \ge 0 \) とする。このとき、\(A\) はユニタリ対角化により \( A = U \Lambda U^* \) と書ける。

可逆な場合には

\operatorname{adj}(A) = (\det A) A^{-1}

であり、固有値は \( \mu_i = \prod_{j \ne i} \lambda_j \) となる。すべての \(\lambda_j \ge 0\) であるから、\(\mu_i \ge 0\) である。

特異な場合でも、同様に余因子行列の固有値は非負であるため、\(\operatorname{adj}(A)\) は半正定値である。

(c) \(A\) が正定値であるとする。このときすべての固有値が \( \lambda_i > 0 \) である。したがって

\mu_i = \prod_{j \ne i} \lambda_j > 0

となり、\(\operatorname{adj}(A)\) のすべての固有値は正である。よって \(\operatorname{adj}(A)\) は正定値である。

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