[行列解析3.4.P10]ヴェイア標準形と一致するジョルダン条件

3.標準形と三角因子分解

3.4.P10

3.4.問題10

ジョルダン行列 \(J\) のヴェイア標準形が \(J\) 自身と一致するのは、任意の固有値 \(\lambda\) について、

(i) \(J\) に \(\lambda\) を固有値とするジョルダンブロックが正確に1個だけある、

または

(ii) \(\lambda\) に対応するすべてのジョルダンブロックが \(1\times 1\) である、

このいずれかが成り立つとき、かつそのときに限ることを示せ。

ヒント

ヴェイア標準形はジョルダンブロックの「縦方向の並び(ヴェイア特性)」で記述される。

一方、ジョルダン標準形は「横方向の並び(ブロックサイズ)」で記述される。

両者が一致するためには、これらの配置が同じ形になる必要がある。

すなわち、ブロックが1つしかない場合か、すべてのブロックが \(1\times 1\) の場合に限られることを確認する。

解答例

固有値 \(\lambda\) に対応するジョルダンブロックのサイズを \( n_1 \ge n_2 \ge \cdots \ge n_k \) とする。このときジョルダン標準形は

J = J_{n_1}(\lambda)\oplus J_{n_2}(\lambda)\oplus \cdots \oplus J_{n_k}(\lambda)

である。一方、ヴェイア標準形はヴェイア特性 \( w_i = \#\{j : n_j \ge i\} \) を用いて

W =
\begin{bmatrix}
\lambda I_{w_1} & I_{w_2} &  &  \\
 & \lambda I_{w_2} & \ddots &  \\
 &  & \ddots & I_{w_{n_1}} \\
 &  &  & \lambda I_{w_{n_1}}
\end{bmatrix}

と表される。

まず、(i) の場合、すなわちブロックが1つだけのときは \(k=1\) であり、 \( w_i = 1 \ (1\le i \le n_1) \) となる。このときヴェイア標準形は

W = J_{n_1}(\lambda)

となり、ジョルダン標準形と一致する。

次に、(ii) の場合、すべてのブロックが \(1\times 1\) のときは \( n_1 = \cdots = n_k = 1 \) である。このとき \( w_1 = k,\ w_i = 0 \ (i\ge 2) \) となるので、ヴェイア標準形は

W = \lambda I_k

となる。一方ジョルダン標準形も同様に \( J = \lambda I_k \) であるから、やはり一致する。

逆に、これら以外の場合、すなわち \(k \ge 2\) かつあるブロックサイズが 2 以上であるとき、ヴェイア標準形では対角ブロックが大きな単位行列となり、ジョルダン標準形のような細かいブロック分解とは一致しない。したがってこの場合は一致しない。

以上より、ヴェイア標準形がジョルダン標準形と一致するのは、(i) または (ii) のいずれかが成り立つとき、かつそのときに限る。

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