[行列解析3.3.P24]同一最小多項式だが非相似な行列

3.標準形と三角因子分解

3.3.P24

3.3 問題24

(3.3.4)の直前の演習にある例を用いて、任意の多項式 \( p(t) \) に対して \( p(A) = 0 \) であることと \( p(B) = 0 \) であることが同値となるような、相似でない \( A, B \in M_n \) が存在することを示しなさい。

ヒント

与えられた行列 \( A, B \) はともに冪零行列であり、最大のジョルダンブロックのサイズに注目すると最小多項式が決まる。最小多項式が一致することは、任意の多項式 \( p(t) \) に対して \( p(A)=0 \iff p(B)=0 \) と同値である。一方、ジョルダン標準形のブロック構造が異なれば相似ではない。

解答例

まず \( A = J_2(0) \oplus J_2(0), \; B = J_2(0) \oplus 0_2 \) とする。いずれも冪零行列であり、最大のジョルダンブロックのサイズは 2 である。

したがって、両者の最小多項式は一致し、 \( q_A(t) = q_B(t) = t^2 \) である。

A^2 = 0, \quad B^2 = 0

ゆえに、任意の多項式 \( p(t) \) に対して \( p(A)=0 \) であることと \( p(B)=0 \) であることは同値である。実際、これは \( q_A(t)=q_B(t) \) がともに最小多項式であることから従う。

一方で、\( A \) と \( B \) は相似ではない。なぜなら、ジョルダン標準形におけるブロックの個数が異なるからである。すなわち、

A : J_2(0) \oplus J_2(0), \quad
B : J_2(0) \oplus J_1(0) \oplus J_1(0)

であり、ジョルダンブロックの構造が異なるため相似ではない。

以上の例により、同じ最小多項式をもつにもかかわらず相似でない行列が存在することがわかる。

一般に、任意の多項式 \( p(t) \) に対して \( p(A)=0 \iff p(B)=0 \) が成立することは、最小多項式が一致することと同値である。したがって、この例は所望の主張を与える。

[行列解析3.3]最小多項式とコンパニオン行列
3.3 この節の目次3.3.13.3.2 正方行列の最小多項式3.3.3 系3.3.4 系3.3.63.3.83.3.103.3.13 コンパニオン行列3.3.143.3.153.3問題集3.3.P13.3.P23.3.P33.3.P43....

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