8.1.18 定理:非負行列に対するスペクトル半径の比較
定理 8.1.18.\( A, B \in M_n \) とし、\( B \) が非負行列であると仮定する。もし \( |A| \le B \) が成り立つならば、
\rho(A) \le \rho(|A|) \le \rho(B)
が成り立つ。
証明
式 (8.1.10) および (8.1.12) を用いると、任意の \( m = 1, 2, \ldots \) に対して次が得られる。
|A^m| \le |A|^m \le B^m
したがって、式 (8.1.16) と (8.1.17) から次が成り立つ。
\|A^m\|_2 \le \||A|^m\|_2 \le \|B^m\|_2,
\quad
\|A^m\|_2^{1/m} \le \||A|^m\|_2^{1/m} \le \|B^m\|_2^{1/m}
ここで、\( m \to \infty \) としてゲルファンドの公式(式 (5.6.14))を適用すると、次を得る。
\rho(A) \le \rho(|A|) \le \rho(B)
行列解析の総本山

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行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

  
  
  
  
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