[行列解析4.3.P30]シュールのメジャライゼーション定理のブロック行列への一般化

4.エルミート行列、対称行列、合同行列
4.3.P30

4.3.問題30

シュールのメジャライゼーション定理 (4.3.45) には、ブロック行列に対する一般化があり、不等式 (4.3.46) に中間項を導入する。

\(A = [A_{ij}]_{i,j=1}^k\) を分割されたエルミート行列とし、\(d(A) = [a_{ii}]_{i=1}^n\) を対角成分ベクトルとする。

このとき、\(d(A)\) が \(\lambda(A_{11} \oplus \cdots \oplus A_{kk})\) によりメジャライズされ、さらにそれが \(\lambda(A)\) によりメジャライズされることを証明せよ。

ヒント

対角ブロック行列 \(D=A_{11}\oplus\cdots\oplus A_{kk}\) を考える。まず各ブロックにシュールのメジャライゼーション定理を適用し、その後、ブロック版シュールの定理を用いて \(\lambda(D)\) と \(\lambda(A)\) を比較する。

解答例

対角ブロック行列

D=A_{11}\oplus\cdots\oplus A_{kk}

を考える。

各対角ブロック \(A_{ii}\) はエルミート行列であるから、シュールのメジャライゼーション定理より、それぞれについて

d(A_{ii})\preceq\lambda(A_{ii})

が成り立つ。

対角成分ベクトル \(d(A)\) は各 \(d(A_{ii})\) を並べたものであり、また \(D\) の固有値ベクトルは各 \(A_{ii}\) の固有値ベクトルを合わせたものである。したがって、メジャライズの直和に関する性質より、

d(A)\preceq\lambda(D)

を得る。

一方、ブロック版シュールのメジャライゼーション定理より、

\lambda(D)\preceq\lambda(A)

が成り立つ。

メジャライズは推移的であるから、

d(A)\preceq\lambda(D)\preceq\lambda(A)

を得る。

すなわち、対角成分ベクトル \(d(A)\) は対角ブロック行列 \(A_{11}\oplus\cdots\oplus A_{kk}\) の固有値ベクトルによりメジャライズされ、さらにその固有値ベクトルは \(A\) の固有値ベクトルによりメジャライズされる。

この結果は、シュールのメジャライゼーション定理とブロック版シュールの定理を組み合わせることにより、不等式 (4.3.46) の間に自然な中間項 \(\lambda(A_{11}\oplus\cdots\oplus A_{kk})\) を与える一般化となっている。

[行列解析4.3]エルミート行列に関する固有値の不等式
この節の目次4.3.1 定理(ヴェイアの定理)4.3.3 系4.3.5 系4.3.7 系4.3.9 系4.3.12 系4.3.15 系4.3.17 定理(Cauchy)4.3.21 定理4.3.26 定理4.3.28 定理4.3.34 系4...


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