[行列解析4.3.P8]メジャライズと成分の範囲の性質

4.エルミート行列、対称行列、合同行列

4.3.P8

4.3.問題8

\(e \in \mathbb{R}^n\) をすべての成分が 1 のベクトルとし、\(e\_i \in \mathbb{R}^n\) を標準基底ベクトルのひとつ、さらに \(y \in \mathbb{R}^n\) とする。

(a) もし \(e\) が \(y\) をメジャライズするなら、\(y = e\) であることを示せ。

(b) もし \(e\_i\) が \(y\) をメジャライズするなら、\(y\) のすべての成分が 0 と 1 の間にあることを示せ。

ヒント

ベクトル \(x\) が \(y\) をメジャライズするとは、成分を非増加順に並べたとき

\sum_{i=1}^k x_i^\downarrow \geq \sum_{i=1}^k y_i^\downarrow
\quad (k=1,\ldots,n-1)

かつ全成分和が一致することを意味する。 \(e=(1,\ldots,1)\) や標準基底ベクトル \(e_i\) の成分和に注目するとよい。

解答例

(a) を示す。

\(e=(1,\ldots,1)\) が \(y\) をメジャライズすると仮定する。 メジャライズの定義より、\(y^\downarrow\) を \(y\) の成分を非増加順に並べたものとして、

\sum_{i=1}^k 1 \geq \sum_{i=1}^k y_i^\downarrow
\quad (k=1,\ldots,n-1)

すなわち

k \geq \sum_{i=1}^k y_i^\downarrow

が成り立つ。 さらに全成分和が一致するので、

\sum_{i=1}^n y_i = \sum_{i=1}^n 1 = n

である。

もしある成分 \(y_j\) が \(1\) より大きければ、 非増加順では \(y_1^\downarrow > 1\) となり、

y_1^\downarrow \leq 1

に矛盾する。 したがってすべての成分は \(1\) 以下である。

一方、全成分和が \(n\) であり、各成分が \(1\) 以下なので、 すべての成分は実際には \(1\) に等しくなければならない。 よって

y=e

が従う。

次に (b) を示す。

\(e_i\) が \(y\) をメジャライズすると仮定する。 \(e_i\) の成分は 1 がひとつ、残りが 0 であるから、 非増加順に並べると

e_i^\downarrow = (1,0,\ldots,0)

となる。 したがってメジャライズの条件より

y_1^\downarrow \leq 1

が成り立つ。 よってすべての成分は \(1\) 以下である。

また全成分和は

\sum_{j=1}^n y_j = 1

である。

もしある成分が負であるとすると、総和が 1 であるためには別の成分が 1 を超えなければならない。 しかしこれはすべての成分が \(1\) 以下であることに矛盾する。

したがってすべての成分は非負であり、

0 \leq y_j \leq 1
\quad (j=1,\ldots,n)

が成り立つ。

[行列解析4.3]エルミート行列に関する固有値の不等式
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