[行列解析4.3.P9]主要化保存写像と二重確率行列

4.エルミート行列、対称行列、合同行列

4.3.P9

4.3.問題9

\(A \in M\_n(\mathbb{R})\) が、任意の \(x \in \mathbb{R}^n\) に対して \(x\) が \(Ax\) をメジャライズすると仮定する。このとき、\(A\) が二重確率行列であることを示せ。

ヒント

主要化の定義より、もし \(x\) が \(Ax\) を主要化するなら、両者の成分和は等しい。 まずこの条件から \(e^{\top}A=e^{\top}\) を導く。 次に標準基底ベクトル \(e_i\) を用いると、\(Ae_i\) の成分について制約が得られる。

解答例

仮定より、任意の \(x \in \mathbb{R}^n\) に対して \(x\) が \(Ax\) を主要化する。 主要化の定義から、成分和は一致しなければならないので、

\sum_{i=1}^n x_i
=
\sum_{i=1}^n (Ax)_i

が任意の \(x\) に対して成り立つ。

\(e=(1,\ldots,1)^{\top}\) を用いると、

e^{\top}x = e^{\top}Ax

となるので、

e^{\top}A = e^{\top}

を得る。 したがって \(A\) の各列和は 1 である。

次に、標準基底ベクトル \(e_i\) を考える。 仮定より \(e_i\) は \(Ae_i\) を主要化する。 しかし \(Ae_i\) は \(A\) の第 \(i\) 列そのものである。

前問より、\(e_i\) があるベクトルを主要化するなら、そのベクトルのすべての成分は \(0\) と \(1\) の間にある。 したがって \(Ae_i\) の各成分は非負である。 これは \(A\) のすべての成分が非負であることを意味する。

さらに \(e^{\top}A=e^{\top}\) より各列和は 1 であり、 非負性も分かったので、

\sum_{i=1}^n a_{ij}=1
\quad (j=1,\ldots,n)

が成り立つ。

最後に \(x=e\) を取る。 \(e\) は \(Ae\) を主要化するが、前問より \(e\) があるベクトルを主要化するなら、そのベクトルは \(e\) 自身でなければならない。 したがって

Ae=e

を得る。 これは \(A\) の各行和が 1 であることを意味する。

以上より、\(A\) は

a_{ij} \geq 0,
\quad
\sum_{j=1}^n a_{ij}=1,
\quad
\sum_{i=1}^n a_{ij}=1

を満たす。 したがって \(A\) は二重確率行列である。

[行列解析4.3]エルミート行列に関する固有値の不等式
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