4.2.P6
4.2.問題6
\( A \in M_n \) の固有値を \(\lambda_1, \ldots, \lambda_n\) とする。ここでは \( A \) がエルミートであるとは仮定しない。次を示しなさい。
\min_{x \neq 0} \left| \tfrac{x^{*} A x}{x^{*} x} \right| \leq |\lambda_i| \leq \max_{x \neq 0} \left| \tfrac{x^{*} A x}{x^{*} x} \right|, \quad i=1,2,\ldots,n
また、不等号が厳密になる場合があることを示しなさい。
ヒント
固有ベクトル \( x \) に対しては \( Ax = \lambda_i x \) が成り立つので、レイリー商 \( \frac{x^*Ax}{x^*x} \) は固有値そのものになる。この事実を用いて上下の評価を行う。また、非エルミート行列ではレイリー商が固有値を完全には特徴づけない点に注意する。
解答例
\( A \in M_n \) の固有値を \( \lambda_1, \ldots, \lambda_n \) とする。任意の固有値 \( \lambda_i \) に対して、対応する固有ベクトル \( x \neq 0 \) をとると \( Ax = \lambda_i x \) が成り立つ。
このときレイリー商は \( \frac{x^*Ax}{x^*x} = \frac{x^*(\lambda_i x)}{x^*x} = \lambda_i \) であるから、
\left| \frac{x^*Ax}{x^*x} \right| = |\lambda_i|
が得られる。
したがって、すべての非零ベクトルに対する最小値および最大値を考えると
\min_{x \neq 0} \left| \frac{x^*Ax}{x^*x} \right|
\leq |\lambda_i|
\leq \max_{x \neq 0} \left| \frac{x^*Ax}{x^*x} \right|
が成り立つ。
次に、不等号が厳密になる例を示す。例えば
A = \begin{pmatrix}
1 & 2 \\
0 & 1
\end{pmatrix}
を考える。このとき固有値はすべて \( 1 \) であるが、前問で見たように
\max_{x \neq 0} \left| \frac{x^*Ax}{x^*x} \right| = 2
となる。
したがって \( |\lambda_i| = 1 \lt 2 \) となり、不等号は厳密になる場合があることが分かる。

[行列解析4.2]変分的特徴づけと部分空間の交わり
この節の目次4.2.2 定理(レイリー)4.2.3 補題 4.2.3(部分空間の共通部分)4.2.4 補題4.2.5 観察4.2.6 定理 4.2.6(クーラント=フィッシャー)4.2.10 定理4.2.11 系4.2問題集P1P2P3P4...
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