[行列解析3.5.P12]補零定理と置換行列の分割

3.標準形と三角因子分解

3.5.P12

3.5.問題12

\( P \in M_n \) を置換行列とし、次のように分割する:

P = \begin{bmatrix} P_{11} & P_{12} \\ P_{21} & P_{22} \end{bmatrix}, \quad
P^{-1} = \begin{bmatrix} P_{11}^{\top} & P_{12}^{\top} \\ P_{21}^{\top} & P_{22}^{\top} \end{bmatrix}

補零定理(law of complementary nullities, 0.7.5)を証明するために、次の関係を示せ:nullity \( P_{11} \) = \( P_{11} \) の零列数 = \( P_{21} \) の 1 の数 = \( P_{22} \) の零行数 = nullity \( P_{22}^{\top} \)。

ヒント

置換行列では各行・各列にちょうど1つの1がある。この性質を用いると、部分行列の零列や零行は、他のブロックに現れる1の個数と対応する。特に列ごとの分布を追跡することで関係式が得られる。

解答例

置換行列 \( P \in M_n \) を \( P = \begin{bmatrix} P_{11} & P_{12} \\ P_{21} & P_{22} \end{bmatrix} \) と分割する。置換行列の定義より、各列にはちょうど1つの1が存在する。

まず、\( P_{11} \) の零列に注目する。ある列が \( P_{11} \) において零列であるとは、その列の1が上側ブロックに存在しないことを意味する。したがって、その列の1は必ず下側ブロック \( P_{21} \) に現れる。

よって、\( P_{11} \) の零列の個数は、\( P_{21} \) に含まれる1の個数と一致する。すなわち

\text{零列数}(P_{11}) = \#\{ \text{1 in } P_{21} \}

一方、各行にも1はちょうど1つしか存在しないため、下側ブロックの行に1が現れる場合、その行における \( P_{22} \) の行は零行になる。したがって、\( P_{21} \) に含まれる1の個数は、\( P_{22} \) の零行の個数に一致する。

\#\{ \text{1 in } P_{21} \} = \text{零行数}(P_{22})

さらに、行列の零行数は転置行列の零列数に等しいので

\text{零行数}(P_{22}) = \text{零列数}(P_{22}^{\top})

が成り立つ。ここで、零列数は核の次元(nullity)に等しいので

\text{nullity}(P_{22}^{\top}) = \text{零列数}(P_{22}^{\top})

である。

以上をまとめると

\text{nullity}(P_{11}) = \text{零列数}(P_{11}) = \#\{ \text{1 in } P_{21} \} = \text{零行数}(P_{22}) = \text{nullity}(P_{22}^{\top})

が成り立つ。これにより補零定理の主張が確認された。

[行列解析3.5]三角因子分解と標準形
3.5 この節の目次3.5.1 定義3.5.2 補題3.5.3 定理3.5.4 系3.5.5 例3.5.6 系3.5.7 補題3.5.8 定理3.5.11 定理3.5.12 定義3.5.13 定理3.5.14 定理3.5 三角因子分解と標準...


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