[行列解析3.5.P4]主小行列非零条件とLU分解の構成

3.標準形と三角因子分解

3.5.P4

3.5.問題4

\( A \in M_n \) の先頭主小行列式(leading principal minors)がすべて非零である場合、タイプ3の基本行操作(diagonal 以下の成分を 0 にする)を用いて、どのように \( A \) の LU 分解を得るか説明せよ。

ヒント

先頭主小行列式がすべて非零であるとき、ガウス消去においてピボットが常に非零となる。

タイプ3の基本行操作(ある行に他の行の倍数を加える操作)を用いると、下三角部分を順に0にできる。

このときの消去係数を用いて下三角行列 \(L\) を構成し、結果として上三角行列 \(U\) が得られる。

解答例

\(A \in M_n\) が先頭主小行列式をすべて非零にもつとする。このとき、ガウス消去法により \(A\) の下三角部分を順に0にすることができる。

具体的には、第1列に対して、\(a_{11} \neq 0\) であるから、各 \(i=2,\ldots,n\) に対して \( l_{i1} = \dfrac{a_{i1}}{a_{11}} \) を用いて 第 \(i\) 行を \( \text{(第i行)} - l_{i1} \times \text{(第1行)} \) で置き換える。この操作により第1列の対角成分の下はすべて0になる。

同様にして、第 \(k\) 段階では、既に上の部分が処理されているとして、ピボット \(u_{kk} \neq 0\) を用い、

l_{ik} = \frac{u_{ik}}{u_{kk}} \quad (i = k+1,\ldots,n)

として、第 \(i\) 行から \(l_{ik}\) 倍の第 \(k\) 行を引くことで、第 \(k\) 列の下側成分を0にする。

この操作を \(k=1,\ldots,n-1\) まで繰り返すことで、最終的に上三角行列 \(U\) が得られる。

各段階で用いた係数 \(l_{ik}\) を成分として、対角成分が1である下三角行列 \(L\) を構成する。すなわち、

L = 
\begin{bmatrix}
1 & 0 & \cdots & 0 \\
l_{21} & 1 & \cdots & 0 \\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\
l_{n1} & l_{n2} & \cdots & 1
\end{bmatrix}

とする。

以上の消去操作は、単位下三角行列の左からの積として表現できるため、全体として

A = LU

という分解が得られる。ここで \(L\) は単位下三角行列、\(U\) は上三角行列である。

先頭主小行列式がすべて非零であるという条件は、各段階でピボットが非零となることを保証し、したがって行の入れ替えを必要とせずにこの手順が実行できることを意味する。

[行列解析3.5]三角因子分解と標準形
3.5 この節の目次3.5.1 定義3.5.2 補題3.5.3 定理3.5.4 系3.5.5 例3.5.6 系3.5.7 補題3.5.8 定理3.5.11 定理3.5.12 定義3.5.13 定理3.5.14 定理3.5 三角因子分解と標準...


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