[行列解析3.3.P31]最小多項式が \(x^2+1\) の行列の存在

3.標準形と三角因子分解

3.3.P31

3.3 問題31

最小多項式が \( x^2 + 1 \) となる実数の \(3 \times 3\) 行列は存在しないことを示しなさい。ただし、そのような性質を持つ実数の \(2 \times 2\) 行列や複素数の \(3 \times 3\) 行列は存在することを示しなさい。

ヒント

最小多項式が \(x^2+1\) であるとは、行列 \(A\) が \(A^2+I=0\) を満たし、かつこれより低い次数の多項式では消えないことを意味する。実数行列の場合、固有値は複素共役の対として現れるので、次元との整合性に注目することが重要である。一方、複素数体ではこの制約が緩和される。

解答例

まず、最小多項式が \(x^2+1\) であるとは、

A^2 + I = 0

が成り立ち、かつ \(A\) は \(x \pm i\) を固有値として持つことを意味する。

実数係数の行列の場合、非実固有値は複素共役対 \(i, -i\) として現れる必要がある。したがって、固有値の個数(重複度を含む)は偶数個でなければならない。

しかし、\(3 \times 3\) 実行列では固有値の総数は 3 であるため、非実固有値の対をすべて収めることはできない。したがって、最小多項式が \(x^2+1\) となる実数の \(3 \times 3\) 行列は存在しない。

一方で、\(2 \times 2\) 実行列であれば、例えば

A = \begin{pmatrix}
0 & -1 \\
1 & 0
\end{pmatrix}

とすると、

A^2 = \begin{pmatrix}
-1 & 0 \\
0 & -1
\end{pmatrix} = -I

が成り立つので、最小多項式は \(x^2+1\) である。このような行列は確かに存在する。

さらに、複素数係数の \(3 \times 3\) 行列では、例えば対角行列

A = \begin{pmatrix}
i & 0 & 0 \\
0 & -i & 0 \\
0 & 0 & i
\end{pmatrix}

を考えると、この行列は明らかに

A^2 + I = 0

を満たし、最小多項式は \(x^2+1\) となる。

以上より、最小多項式が \(x^2+1\) となる実数の \(3 \times 3\) 行列は存在しないが、実数の \(2 \times 2\) 行列および複素数の \(3 \times 3\) 行列ではそのような行列は存在する。

[行列解析3.3]最小多項式とコンパニオン行列
3.3 この節の目次3.3.13.3.2 正方行列の最小多項式3.3.3 系3.3.4 系3.3.63.3.83.3.103.3.13 コンパニオン行列3.3.143.3.153.3問題集3.3.P13.3.P23.3.P33.3.P43....

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