[行列解析3.2.9.3]

3.2.9.3

観察 3.2.9.3. 任意の \( B \in M_n \) は、置換相似(permutation similarity)の下で既約な(これ以上分解できない)行列の直和に置換相似である。

証明. 有限集合 \( S = \{ P^T B P : P \in M_n \text{ は置換行列} \} \) を考える。\( S \) の要素の中にはブロック対角のものが存在する(例えば \( P = I_n \) を取ればよい)。正の整数 \( q \) の最大のものを取って、\( B \) が \( B_1 \oplus \cdots \oplus B_q \) に置換相似であるとする。ただし、それぞれ \( B_i \in M_{n_i} \)、かつ各 \( n_i \geq 1 \) とする。このとき \( q \) の最大性により、いずれの直和成分 \( B_i \) も置換相似の下でさらに分解可能ではないことが保証される。□

正方行列において、非ゼロの非対角成分の数は置換相似によって変化しない。したがって、先に述べた二つの観察を組み合わせることで、ある行列のジョルダン標準形に現れるジョルダンブロックの数に関する下界を得ることができる。


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