[行列解析8.3.P15]

8.正および非負行列

8.3.問題15

8.3.P15

実数行列 \( A = [a_{ij}] \in M_n(\mathbb{R}) \) について、すべての \( i \neq j \) に対して \( a_{ij} \le 0 \) が成り立ち、さらに \( A \) のすべての実固有値が正であるとする。このような行列を M-行列 と呼ぶ。以下では、\( A^{-1} \) が非負行列であることを示す。

(a) まず、\( \mu = \max a_{ii} \) とおく。このとき \( \mu > 0 \) である。

(b) 次に、\( B = \mu I - A \) とおくと、\( B \) は非負行列となる。また、\( \rho(B) \)(スペクトル半径)は \( B \) の固有値である。

(c) \( \mu - \rho(B) \) は \( A \) の固有値であることから、\( \mu > \rho(B) \) が成り立つ。

(d) 以上より、

A^{-1} = \mu^{-1} \sum_{k=0}^{\infty} \mu^{-k} B^{k} \ge 0

が成り立ち、したがって \( A^{-1} \) は非負行列である。この結果の特別な場合は問題 (7.2.P31) を参照のこと。


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