[行列解析4.4.P7]還元アルゴリズムによる行列の上三角化

4.エルミート行列、対称行列、合同行列

4.4.問題7

4.4.P7

定理4.4.3 の証明で使った還元アルゴリズムを

\(A = \begin{pmatrix} 1 & i \\ -i & 1 \end{pmatrix}\) に適用せよ。

結果、
\(\Lambda = \begin{pmatrix} 0 & 2 \\ 0 & 0 \end{pmatrix}\) および
\(U = \frac{1}{\sqrt{2}} \begin{pmatrix} 1 & 1 \\ -i & i \end{pmatrix}\) で
\(A = U \Lambda U^{\top}\) が成り立つことを示せ。

ヒント

与えられた行列 \(A\) に対して、まず \(A\bar{A}\) の固有値を調べる。ここでは \(A\bar{A}=0\) となるため、固有値はすべて \(0\) である。したがって対角成分がすべて \(0\) となる上三角行列を得ることを目標とする。与えられた \(U\) がユニタリ行列であることを確認したうえで、\(U\Lambda U^T\) を直接計算すれば目的の等式が確認できる。

解答例

まず、与えられた行列 \(A\) とその複素共役行列 \(\bar{A}\) は

A=
\begin{pmatrix}
1&i\\
-i&1
\end{pmatrix},
\qquad
\bar{A}=
\begin{pmatrix}
1&-i\\
i&1
\end{pmatrix}

である。したがって、

A\bar{A}
=
\begin{pmatrix}
1&i\\
-i&1
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
1&-i\\
i&1
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
1+i^2&-i+i\\
-i+i&(-i)(-i)+1
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
0&0\\
0&0
\end{pmatrix}

よって \(A\bar{A}\) の固有値は \(0,0\) である。したがって、還元アルゴリズムによって得られる上三角行列の対角成分はともに \(0\) となる。

ここで、問題で与えられた行列

\Lambda=
\begin{pmatrix}
0&2\\
0&0
\end{pmatrix}

を考える。この行列は上三角行列であり、その対角成分は \(0,0\) であるため、定理4.4.3の結論と一致している。

次に、与えられた行列 \(U\) がユニタリ行列であることを確認する。\(U\) は

U=
\frac{1}{\sqrt{2}}
\begin{pmatrix}
1&1\\
-i&i
\end{pmatrix}

である。その共役転置行列は

U^*
=
\frac{1}{\sqrt{2}}
\begin{pmatrix}
1&i\\
1&-i
\end{pmatrix}

である。したがって、

 \begin{aligned} U\Lambda U^{\top} 
&= \frac{1}{2} \begin{pmatrix} 0&2\\ 0 &-2i \end{pmatrix} 
\begin{pmatrix} 1&-i\\ 1&i \end{pmatrix}\\ 
&= \frac{1}{2} \begin{pmatrix} 2&2i\\ -2i&(-2i)i \end{pmatrix}\\ &= \frac{1}{2} \begin{pmatrix} 2&2i\\ -2i&2 \end{pmatrix}\\ &= \begin{pmatrix} 1&i\\ -i&1 \end{pmatrix} \end{aligned} 

これはもとの行列 (A) に一致する。したがって、

 A = U\Lambda U^{\top} = \frac{1}{\sqrt{2}} \begin{pmatrix} 1&1\\ -i&i \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 0&2\\ 0&0 \end{pmatrix} \frac{1}{\sqrt{2}} \begin{pmatrix} 1&-i\\ 1&i \end{pmatrix}

以上により、還元アルゴリズムによって得られた \(\Lambda\) と \(U\) に対して、確かに \(A=U\Lambda U^{\top}\) が成り立つことが示された。

[行列解析4.4]ユニタリ合同と複素対称行列
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