[行列解析4.4.P3]対称正規行列に対するオートンの定理の別証明

4.エルミート行列、対称行列、合同行列

4.4.P3

4.4.問題3

(4.4.4c) の別のアプローチの詳細を示せ。

行列 \(A \in M_n\) を対称とする。

(a) \(A\overline{A}\) はエルミートなので、
\(A\overline{A} = V \Sigma_1 V^*\) と書ける。

ここで \(V\) はユニタリ、\(\Sigma_1\) は実対角行列。

(b) \(V^* A \overline{V} = B\) は対称かつ正規なので、(2.5.P57) により
\(B = Q \Sigma Q^T\) と書ける。
ここで \(\Sigma\) は対角、\(Q\) は実直交行列。

(c) よって
\(A = (VQ) \Sigma (VQ)^T\) が成り立つ。

さらに \(\Sigma = E \Lambda E^T\) として、
\(E, \Lambda\) は対角かつユニタリ、
\(\Lambda\) は非負とすると、
\(A = U \Lambda U^T\) で
\(U = VQE\) となる。

ヒント

まず \(\overline{A}A\) をスペクトル分解し、その固有ベクトルで相似変換した行列が対称かつ正規となることを示す。

次に対称正規行列の直交対角化を適用し、最後に対角成分の偏角を吸収して非負対角行列を得る。

解答例

まず、\(\overline{A}A=A^{*}A\) はエルミートかつ半正定値であるから、スペクトル定理よりユニタリ行列 \(V\) が存在して、

A^{*}A
=
\overline{A}A
=
V\Sigma_1V^{*}

と書ける。ただし、\(\Sigma_1\) は非負対角行列である。

ここで

B=V^{*}A\overline{V}

とおく。

\(A\) は対称であるから、

B^{\top}
=
(V^{*}A\overline{V})^{\top}
=
V^{\top}A^{\top}\overline{V}^{\top}
=
V^{*}A\overline{V}
=
B

となり、\(B\) も対称である。

さらに、

B^{*}B
=
V^{\top}A^{*}AV
=
V^{\top}(\overline{A}A)V
=
\Sigma_1
BB^{*}
=
V^{*}A\overline{A}\,\overline{V}
=
\Sigma_1

となるので、\(B\) は正規行列である。

したがって、対称正規行列の標準形(2.5.P57)より、実直交行列 \(Q\) と対角行列 \(\Sigma\) が存在して、

B
=
Q\Sigma Q^{\top}

と書ける。

よって、

A
=
(VQ)\Sigma(VQ)^{\top}

を得る。

最後に、対角行列 \(\Sigma\) の各対角成分を極形式で表すことにより、ユニタリ対角行列 \(E\) と非負対角行列 \(\Lambda\) を用いて、

\Sigma
=
E\Lambda E^{\top}

と書ける。

そこで

U
=
VQE

とおけば、\(U\) はユニタリであり、

A
=
U\Lambda U^{\top}

となる。これがオートンの定理である。

[行列解析4.4]ユニタリ合同と複素対称行列
この節の目次4.4.2 補題4.4 ユニタリ合同と複素対称行列複素エルミート行列と複素対称行列は、ともに複素平面における単位円板の解析写像の研究に現れる。もし \( f \) が単位円板上の複素解析関数で、正規化条件 \( f(0) = 0...


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