4.4.P15
4.4.問題15
\(A, B \in M_n\) が共役正規行列であるとする。
\(A\overline{A}\) と \(B\overline{B}\) が同じ固有値を持つ場合に限り、\(A\) と \(B\) がユニタリ合同であることを説明せよ。
ヒント
ユニタリ合同 \(B=UAU^{\top}\) を考えると、\(B\overline{B}\) は \(A\overline{A}\) とユニタリ相似になる。したがって、ユニタリ合同ならば \(A\overline{A}\) と \(B\overline{B}\) の固有値は一致する。逆に、共役正規行列については、定理4.4.3の還元アルゴリズムによって、\(A\overline{A}\) の固有値から \(A\) のユニタリ合同標準形が決まる。この標準形が \(A\) と \(B\) で一致することを示せばよい。
解答例
まず、\(A\) と \(B\) がユニタリ合同であると仮定する。すなわち、あるユニタリ行列 \(U\) が存在して
B=UAU^{\top}
とする。このとき、複素共役を取ると
\overline{B}=\overline{U}\,\overline{A}\,U^*
である。したがって、
\begin{aligned}
B\overline{B}
&=
UAU^{\top}\overline{U}\,\overline{A}\,U^*\\
&=
UA\overline{A}U^*,
\end{aligned}
となる。ここでは、\(U\) がユニタリ行列なので \(U^{\top}\overline{U}=I\) を用いた。したがって、\(B\overline{B}\) は \(A\overline{A}\) とユニタリ相似である。よって、
\operatorname{spec}(B\overline{B})
=
\operatorname{spec}(A\overline{A})
が成り立つ。これで必要性が示された。
次に、\(A\overline{A}\) と \(B\overline{B}\) が同じ固有値を持つと仮定する。\(A\) と \(B\) は共役正規行列なので、定理4.4.3の還元アルゴリズムをそれぞれに適用できる。このとき、\(A\overline{A}\) の固有値を
\lambda_1,\ldots,\lambda_n
とし、重複度を含めて並べる。同じ固有値を持つという仮定から、\(B\overline{B}\) の固有値も同じ \(\lambda_1,\ldots,\lambda_n\) である。
還元アルゴリズムによれば、あるユニタリ行列 \(U_A\) と \(U_B\) を用いて、それぞれ
A=U_A\Lambda U_A^{\top},
\qquad
B=U_B\Lambda U_B^{\top}
という同じ標準形に変換できる。ここで \(\Lambda\) は \(A\overline{A}\) の固有値から定まる還元形である。特に、その対角成分は対応する固有値の平方根によって定まり、残りのブロックについても共役正規性によって同じ形に決定される。
したがって、\(A\) と \(B\) は同じユニタリ合同標準形を持つ。すなわち、
A=U_A\Lambda U_A^{\top},
\qquad
B=U_B\Lambda U_B^{\top}
である。ここで
V=U_B U_A^*
とおくと、\(V\) もユニタリ行列である。そして
\begin{aligned}
VAV^{\top}
&=
U_B U_A^*U_A\Lambda U_A^{\top}\overline{U_A}U_B^{\top}\\
&=
U_B\Lambda U_B^{\top}\\
&=B
\end{aligned}
ここで \(U_A^*U_A=I\) および \(U_A^{\top}\overline{U_A}=I\) を用いた。したがって \(A\) と \(B\) はユニタリ合同である。
以上から、共役正規行列 \(A,B\in M_n\) について、\(A\overline{A}\) と \(B\overline{B}\) が同じ固有値を持つことと、\(A\) と \(B\) がユニタリ合同であることは同値である。

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