[行列解析4.2]変分的特徴づけと部分空間の交わり

4.エルミート行列、対称行列、合同行列

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  • 4.2.2 定理

4.2 変分的特徴づけと部分空間の交わり

エルミート行列 \(A \in M_n\) の固有値は実数であるため、常に代数的に非減少順に並べるという慣習を採用する:

(4.2.1)
\lambda_{\min} = \lambda_1 \leq \lambda_2 \leq \cdots \leq \lambda_{n-1} \leq \lambda_n = \lambda_{\max} 

複数のエルミート行列を扱う場合、それぞれの固有値を (4.2.1) のように常に代数的順序で並べ、次のように表記すると便利である:

\{\lambda_i(A)\}_{i=1}^n, \quad \{\lambda_i(B)\}_{i=1}^n, \quad \text{など}.

エルミート行列 \(A\) の最小および最大の固有値は、レイリー商 \( \frac{x^{*}Ax}{x^{*}x} \) を用いた最小化・最大化問題の解として特徴づけられる。

次のレイリー商定理を支える基本事実は以下の通りである:

エルミート行列 \(A \in M_n\) に対して、異なる固有値に対応する固有ベクトルは自動的に直交する。

単一の固有値 \(\lambda\) に対応する任意の非空の固有ベクトルの集合の張る部分空間には、その \(\lambda\) に対応する正規直交基底が含まれる。

そして、\(\mathbb{C}^n\) には \(A\) の固有ベクトルからなる正規直交基底が存在する。


参考:Matrix Analysis:Second Edition ISBN 0-521-30587-X.(当サイトは公式と無関係です)

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