4.1.P19
4.1.問題19
\(A \in M_n\) が射影行列 \(A^2 = A\) の場合、\(A\) がエルミートであるとき、Hermitian projection と呼ぶ。さらに、\(A\) の像が零空間に直交している場合、orthogonal projection と呼ぶ。(4.1.5) および (4.1.4) を用いて、\(A\) が Hermitian projection であることは orthogonal projection であることと同値であることを示せ。
ヒント
射影行列とは \(A^2 = A\) を満たす行列である。
エルミート射影はさらに \(A^* = A\) を満たす。
像と零空間の直交性は、任意の \(x, y\) に対して \(Ax\) と \((I-A)y\) の内積が 0 であること、すなわち \((Ax)^*((I-A)y) = 0\) を確認すればよい。
解答例
まず、\(A\) がエルミート射影、すなわち
A^2 = A, \quad A^* = A
を満たすとする。任意の \(x, y \in \mathbb{C}^n\) に対して、
(Ax)^*((I-A)y) = x^*A^*(I-A)y
ここで \(A^* = A\) より
x^*A(I-A)y = x^*(A - A^2)y
射影条件 \(A^2 = A\) を用いると
x^*(A - A^2)y = 0
となる。したがって、像 \(\mathrm{Im}\,A\) に属するベクトル \(Ax\) と、零空間 \(\mathrm{Ker}\,A\) に属するベクトル \((I-A)y\) は直交する。よって \(A\) は直交射影である。
逆に、\(A\) が直交射影であるとする。すなわち \(A^2 = A\) であり、さらに任意の \(x, y\) に対して
(Ax)^*((I-A)y) = 0
が成り立つ。この式を展開すると
x^*A^*(I-A)y = 0
すなわち
x^*(A^* - A^*A)y = 0
任意の \(x, y\) に対して成り立つので
A^* = A^*A
一方で \(A^2 = A\) より
A^*A = A
したがって
A^* = A
が従い、\(A\) はエルミートである。
以上より、射影行列 \(A\) がエルミートであることと、像が零空間に直交すること(直交射影であること)は同値である。

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