4.1.P14
4.1.問題14
ある \(\theta \in \mathbb{R}\) に対して \(A = e^{i\theta} A^*\) が成り立つことと、\(e^{-i\theta/2} A\) がエルミートであることは同値であることを示せ。
\(\theta = \pi\) の場合、\(\theta = 0\) の場合はどうなるか?
歪エルミート行列のクラスが本質的にエルミートな無限に多くのクラスの一つとして考えられる理由を説明し、それぞれのクラスの構造を述べよ。
ヒント
条件 \(A = e^{i\theta}A^*\) を変形して、スカラー倍 \(e^{-i\theta/2}A\) の共役転置を計算するとよい。逆向きも同様に確認する。また、\(\theta\) の特別な値ではエルミート・歪エルミートの定義に一致することを確かめる。
解答例
まず、\(A = e^{i\theta}A^*\) と仮定する。このとき
(e^{-i\theta/2}A)^* = e^{i\theta/2}A^*
であり、仮定より \(A^* = e^{-i\theta}A\) であるから、
(e^{-i\theta/2}A)^* = e^{i\theta/2} \cdot e^{-i\theta} A = e^{-i\theta/2} A
よって \(e^{-i\theta/2}A\) はエルミートである。
逆に、\(e^{-i\theta/2}A\) がエルミートであるとすると、
(e^{-i\theta/2}A)^* = e^{-i\theta/2}A
すなわち
e^{i\theta/2}A^* = e^{-i\theta/2}A
となるので、両辺に \(e^{i\theta/2}\) を掛けて
A = e^{i\theta}A^*
が得られる。よって両者は同値である。
次に特別な場合を考える。\(\theta=0\) のときは
A = A^*
となり、これはエルミート行列の定義である。\(\theta=\pi\) のときは
A = -A^*
となり、歪エルミート行列の定義に一致する。
一般に、条件 \(A = e^{i\theta}A^*\) を満たす行列全体は、エルミート行列のスカラー倍
A = e^{i\theta/2} H \quad (H = H^*)
として表される。したがって、各 \(\theta\) に対してこのような行列の集合は、エルミート行列全体を複素数 \(e^{i\theta/2}\) 倍したものになっている。
特に歪エルミート行列(\(\theta=\pi\))は、このような無数のクラスの一つに過ぎず、エルミート行列を位相因子で回転したものとして統一的に理解できる。それぞれのクラスはエルミート行列空間のスカラー倍であり、同じ線形構造をもつ。

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