[行列解析3.2.P3]実表現行列のジョルダン標準形の構造

3.標準形と三角因子分解

3.2.P3

3.2問題3

\( A = B + iC \in M_n \) とし、ここで \( B \) と \( C \) は実行列である (0.2.5)。

さらに、\( A \) のジョルダン標準形を \( J \) とする。実表現

R_1(A) = \begin{bmatrix} B & C \\ -C & B \end{bmatrix} \in M_{2n}

を (1.3.P20) で議論した。

このとき、なぜ \( J \oplus \overline{J} \) が \( R_1(A) \) のジョルダン標準形となり、さらに \( \lambda \) が実数であっても、その形が \( J_k(\lambda) \oplus J_k(\overline{\lambda}) \) というペアの直和になるのかを説明せよ。

ヒント

複素行列 \( A \) をジョルダン標準形に変換すると \( A = SJS^{-1} \) と書ける。実表現 \( R_1(A) \) は線形写像を実ベクトル空間上で表したものであり、複素数 \( z = x+iy \) を \( (x,y) \) に対応させる写像で理解できる。

この対応では、複素共役も同時に現れるため、固有値 \( \lambda \) に対応する部分空間は \( \lambda \) と \( \overline{\lambda} \) の両方を含む形で現れる。したがって実表現では ジョルダンブロックは \( J_k(\lambda) \) と \( J_k(\overline{\lambda}) \) の直和として現れる。

解答例

\( A \in M_n(\mathbb{C}) \) とし、そのジョルダン標準形を \( J \) とする。すなわち、ある可逆行列 \( S \) が存在して \( A = SJS^{-1} \) と書ける。

実表現を \( R_1(A) = \begin{bmatrix} B & C \\ -C & B \end{bmatrix} \) と定める。この写像は複素行列を実 \( 2n \times 2n \) 行列に対応させる標準的な表現であり、次の性質を満たす。

R_1(A)=R_1(S)R_1(J)R_1(S)^{-1}

したがって \( R_1(A) \) は \( R_1(J) \) と相似である。ゆえに \( R_1(A) \) のジョルダン構造は \( R_1(J) \) を調べればよい。

いま \( J \) はジョルダンブロックの直和

J = \bigoplus J_k(\lambda)

の形で書ける。実表現をとると、複素数 \( z=x+iy \) を実ベクトル \( (x,y) \) に対応させるため、固有値 \( \lambda \) に対して複素共役 \( \overline{\lambda} \) も同時に現れる。

したがってジョルダンブロックに対して

R_1(J_k(\lambda))
\sim
J_k(\lambda)\oplus J_k(\overline{\lambda})

が成り立つ。これをすべてのジョルダンブロックについて適用すると

R_1(J)\sim J \oplus \overline{J}

となる。したがって \( R_1(A) \) のジョルダン標準形は \( J \oplus \overline{J} \) である。

さらに \( \lambda \) が実数の場合には \( \lambda=\overline{\lambda} \) であるが、実表現では複素共役空間も同時に現れるため、ジョルダンブロックは

J_k(\lambda)\oplus J_k(\overline{\lambda})

という形のペアとして現れる。これは実ベクトル空間として複素空間を表現していることに対応している。


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