[行列解析3.2.P12]非正則ジョルダンブロックが複数あるとき \(adj A=0\)

3.標準形と三角因子分解

3.2.P12

3.2問題12

\( A \) のジョルダン標準形に2つ以上の非正則ジョルダンブロックが含まれる場合、\(\mathrm{adj}\, A = 0\) となる理由を説明しなさい。

ヒント

余因子行列には \( A\,\mathrm{adj}(A)=\det(A)I \) が成り立つ。行列 \(A\) が非正則であるときは \( \det(A)=0 \) となるため \( A\,\mathrm{adj}(A)=0 \) である。

さらに一般に、\( \mathrm{rank}\,A \le n-2 \) のときはすべての \( (n-1)\times(n-1) \) 小行列式が0になるので \( \mathrm{adj}(A)=0 \) になる。したがって、ジョルダン標準形に零固有値のジョルダンブロックが2個以上ある場合には \( \mathrm{rank}\,A \le n-2 \) となることを確認すればよい。

解答例

余因子行列には次の基本公式がある。

A\,\mathrm{adj}(A)=\det(A)I

いま \(A\) のジョルダン標準形に零固有値のジョルダンブロックが2個以上含まれているとする。

このとき零固有値の幾何重複度は少なくとも2であるため \( \dim\ker(A) \ge 2 \) となる。したがって

\mathrm{rank}(A)=n-\dim\ker(A)\le n-2

が従う。

一般に \( \mathrm{rank}(A)\le n-2 \) のときは、すべての \( (n-1)\times(n-1) \) 小行列式が0になる。余因子行列の各成分はこれらの小行列式であるから

\mathrm{adj}(A)=0

が従う。

したがって、\(A\) のジョルダン標準形に2つ以上の非正則ジョルダンブロック(固有値0のジョルダンブロック)が含まれる場合には \( \mathrm{adj}(A)=0 \) となる。


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