[行列解析3.2.P11]非正則行列の余因子行列のジョルダン標準形

3.標準形と三角因子分解

3.2.P11

3.2問題11

ある非正則行列 \( A \in M_n \) のジョルダン標準形が \( J_{n_1}(\lambda_1) \oplus \cdots \oplus J_{n_{k-1}}(\lambda_{k-1}) \oplus J_{n_k}(0) \) であるとする。

このとき、\(\mathrm{adj}\, A\) のジョルダン標準形が \( n_k \geq 2 \) の場合は \( J_2(0) \oplus 0_{n-2} \)、\( n_k = 1 \) の場合は \(\prod_{i=1}^{k-1} \lambda_i^{\,n_i} \oplus 0_{n-1}\) である理由を説明せよ。

前者は \(\mathrm{rank}\, A \lt n-1\) の場合に対応し、後者は \(\mathrm{rank}\, A = n-1\) の場合に対応する。

ヒント

余因子行列には基本関係 \( A\,\mathrm{adj}(A)=\det(A)I \) が成り立つ。ここで \(A\) が非正則であるときは \( \det(A)=0 \) となるため \( A\,\mathrm{adj}(A)=0 \) が従う。この関係から \(\mathrm{Im}(\mathrm{adj}(A)) \subset \ker(A)\) がわかる。

また一般に、\( \mathrm{rank}\,A \le n-2 \) のときは \( \mathrm{adj}(A)=0 \) となり、\( \mathrm{rank}\,A=n-1 \) のときは \( \mathrm{adj}(A) \) は階数1の行列になることが知られている。ジョルダン標準形の零固有値部分は、この階数と冪零性から決定できる。

解答例

余因子行列の基本公式

A\,\mathrm{adj}(A)=\det(A)I

を用いる。ここで \(A\) は非正則であるから

\det(A)=0

であり、したがって

A\,\mathrm{adj}(A)=0

が成り立つ。この関係から \( \mathrm{Im}(\mathrm{adj}(A)) \subset \ker(A) \) が従う。

いま \(A\) のジョルダン標準形が \( J_{n_1}(\lambda_1)\oplus\cdots\oplus J_{n_{k-1}}(\lambda_{k-1})\oplus J_{n_k}(0) \) であるとする。

まず \(n_k\ge2\) の場合を考える。このとき零固有値に対応するジョルダンブロックの大きさが2以上であるため \( \mathrm{rank}\,A \le n-2 \) となる。

一般に \( \mathrm{rank}\,A \le n-2 \) のときはすべての \( (n-1)\times(n-1) \) 小行列式が0になるため

\mathrm{adj}(A)=0

である。零行列のジョルダン標準形は零固有値の1次ブロックのみからなるので

\mathrm{adj}(A)\sim J_2(0)\oplus 0_{n-2}

となる。

次に \(n_k=1\) の場合を考える。このとき零固有値のジョルダンブロックは1個だけであるから

\mathrm{rank}(A)=n-1

である。

この場合、余因子行列は階数1の行列になり、固有値は

\prod_{i=1}^{k-1}\lambda_i^{n_i}

である。残りの固有値はすべて0である。

したがってジョルダン標準形は

\mathrm{adj}(A)\sim 
\left(\prod_{i=1}^{k-1}\lambda_i^{n_i}\right)\oplus 0_{n-1}

となる。


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