5.4.1
定義 5.4.1.
実または複素ベクトル空間 \(V\) にノルム \( \lVert \cdot \rVert \) が与えられているとする。ベクトルの数列 \(\{x^{(k)}\}\) がベクトル \(x \in V\) に収束するとは、次が成り立つときに限りそう言う:
\lim_{k \to \infty} \lVert x^{(k)} - x \rVert = 0
もし \(\{x^{(k)}\}\) が \( \lVert \cdot \rVert \) に関して \(x\) に収束するならば、
\lim_{k \to \infty} x^{(k)} = x \\ \quad (\text{with respect to } \lVert \cdot \rVert)
と書く。
ある数列が、与えられたノルムに関して2つの異なる極限に収束することはありうるだろうか?
練習問題.
もし \(\lim_{k \to \infty} x^{(k)} = x\)、かつ \(\lim_{k \to \infty} x^{(k)} = y\) が \( \lVert \cdot \rVert \) に関して成り立つならば、次を考える:
\lVert x - y \rVert \\ = \lVert (x - x^{(k)}) + (x^{(k)} - y) \rVert
三角不等式を用いることで \(x = y\) を示せる。
したがって、与えられたノルムに関する数列の極限は、存在すれば一意である。
次の問いが生じる:ある数列が一方のノルムに関して収束するが、別のノルムに関しては収束しないということはありうるだろうか?
行列解析の総本山

[行列解析]総本山
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