[行列解析4.6.16]系

4.6.16

系 4.6.16. 任意の行列 A ∈ M_n に対して、A ¯A は実行列の二乗と相似である。

証明:系 4.6.15 により、非特異な行列 S ∈ M_n および実行列 R ∈ M_n(ℝ) が存在して、A = SR¯S −1 と書ける。すると

A ¯A = SR¯S −1 SR¯S−1 = SR^2 S−1

となる。この系およびその証明は、(4.4.13) で指摘された現象を完全に説明している。すなわち、λ が A ¯A の負の実固有値であるとする。μ を μ^2 = λ を満たす純虚数スカラーとし、Im μ > 0 とする。A ¯A のジョルダン標準形に J_k(λ) が現れるのは、R^2 のジョルダン標準形に現れる場合に限る。またこれは R のジョルダン標準形に J_k(μ) または J_k(−μ) が現れる場合に限る。しかし R は実行列で μ¯ = −μ であるため、両方のブロックが R のジョルダン標準形に存在し、しかもその数は同じでなければならない。したがって、R^2(および A ¯A)のジョルダン標準形における J_k(λ) ブロックの数は偶数となる。


行列解析の総本山

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行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

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